バレーボール・SVリーグ女子のヴィクトリーナ姫路は21日、兵庫県警・少年サポートセンターと連携し、立ち直り支援活動の一環として、中学生・高校生を対象にした交流会を姫路市内で開催しました。
この取り組みは、非行防止と青少年の健全育成を目的に、ヴィクトリーナの選手やスタッフとの交流を通して、子どもたちに将来の希望や目標を持ってもらうことを目指すものです。
この日、参加した中高生と交流したのは、ヴィクトリーナでチーム通訳をつとめる阿部美奈子さん。日本バレーボール界のレジェンド指導者の1人、アリー・セリンジャー氏の通訳として長らく携わり、現在はヴィクトリーナで、アリー氏の息子であるアヴィタル・セリンジャー監督を支えています。

阿部さんは、言葉遊びやサイコロトークを交えて緊張気味の生徒たちをリラックスさせながら、自身の海外経験やバレーボールを通して学んだことを紹介。「目をしっかり見て握手することの大切さ」や、チームが逆境に立ち向かうときに大切にする言葉 “enjoy”と“believe”を紹介し、「信じること」「楽しむこと」の大切さを熱く語りました。さらに、「I believe in myself できる!できる!」と、自らを鼓舞する合言葉も伝授し、子どもたちを勇気づけていました。
また、阿部さんは、これまでの生い立ちでの苦労談や、バレーボールをきっかけに未来を切り開いた経験なども披露。生徒たちも真剣に耳を傾けていました。

阿部さんは「おとなしい子が多いかなと思って、ドキドキして(交流会の場に)来たのですが、すごく反応がよくてよかった」とコメント。
自らを「私の原点は、コンプレックスの塊」と述べる名通訳は、バレーボールの経験を通じて「こんな私でも誰かの役に立つんだ」という思いが芽生えたことで、生きる希望を見いだし、現在は「バレーボールに恩返ししたい」と、通訳として奮闘しています。
「(悩みや苦しみなど)抱えているものがあり、それはなくならずに一生持っていかなければいけないものかもしれないですが、『楽しい部分もある』『いい自分もいる』というのを、少しでも感じてくれたら」と、阿部さんは交流会を通じて子どもたちにエールを送っていました。
参加した生徒は、「小さい頃の境遇にも嘆かず、努力したら結果が出るということがわかり、非常にいい経験になりました」、「バレーボールの通訳をする人が、そんなにすごい人だと知らなかったが、すごく勉強になりました。悩んだときは“enjoy”と(自らを)励まそうと思いました」と感想を述べ、今回の交流会は意義あるものになったようです。
兵庫県警生活安全部少年課・少年サポートセンターの担当者は、「スポーツは子どもが憧れを持ちやすい存在。そうした方のお話や体験を伝えてもらうことで、生活の目標を持つきっかけになれば」と、今回の交流会を企画した意図を説明。
阿部さんの話について、「苦労されたなか、その後、いかに頑張ってきたかという話しは、子どもたちにも共感できるところがあると思う。自分たちも頑張れば悩みを解決できるなど、そういうところにつなげられるヒントになったのではないかなと思う」と述べました。
ヴィクトリーナは、今回の交流会に参加した生徒を10月25日に姫路市のヴィクトリーナ・ウインク体育館で行われる今シーズンのSVリーグホーム開幕戦に招待します。阿部さんは「選手にとってもチームにとってもプラスになるので、できるだけ(地域の子どもたちと)交流を行いたい。子どもたちにとってもきっと忘れられない思い出になると思う」と、地域貢献活動の重要性を語っていました。
交流会に参加した生徒の1人は、阿部さんの話を通じて、「英語があることで、他の国の人とつながっていたり、他の人に勇気をもらったりするのがわかった。英語を大切に、自分の国のことも大切にしていきたい」と気づきを得たそう。
そんな彼女は、25日の試合後、記者体験を行う予定で、「緊張はするけど、しっかり選手に話を聞きたい。昔のことや、自分に勇気を与えること(秘訣)などを聞いて、それを自分にもいかしていけたらと思います」と、意気込みを語りました。






