今年2度目のお月見 環のない土星 そしておうし座に注目? 2025年11月の星空散歩 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

今年2度目のお月見 環のない土星 そしておうし座に注目? 2025年11月の星空散歩

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 夜の時間が徐々に長くなってきた。寒さが本格化する前に夜空を眺めるのはどうだろう。2025年11月は、数こそ多くはないものの、3つの流星群が極大を迎える。そして、今年1月に発見された「レモン彗星」が観察のチャンスを迎えている。

 流星群の前に、今年2度目の「お月見」を。11月2日は太陰太陽暦の9月13日にあたり、日本ではこの日の月を十三夜と呼んでお月見をする習慣がある。別名で「栗名月」「後(のち)の月」とも言われ、満月になる手前の少し欠けた月の近くでは土星が輝く。明るさは0.8等で、月の明るさがあっても充分に見ることができる。

 十三夜の3日後、5日は、2025年で最も地球に近い満月となる。月は地球の周りを楕円軌道で公転するため、地球と月の距離は、近い時で約36万キロメートル、遠い時で約40万キロメートルと一定ではない。最も近づく時と満月となるタイミングが近ければ、普段より大きな満月が見えるはず。11月5日午後10時19分に満月となり、その約9時間後の6日午前7時27分に、地心距離(地球の中心から天体・この場合は月の中心までの距離)は約35万7,000キロメートルに。このことから5日の宵から6日の明け方に見える満月が、「2025年で一番大きく見える満月」となる。とはいえ、肉眼ではどのくらい大きいのか、比べようもなくわからないのが現実。今年、最も遠かった満月は4月13日で、その距離は約40万6,000キロメートル。この時より14%大きく見えるという。

画像提供:明石市立天文科学館
画像提供:明石市立天文科学館

 そしてこのタイミング、5日の宵から6日の明け方にかけて、月とプレアデス星団が大接近する。おうし座にあるプレアデス星団は、日本では「すばる」という名前で親しまれ、ハワイにあるすばる望遠鏡の名前の由来にもなった。また「六連星(むつらぼし)」の名前も持ち、「うしの肩」あたりで青白く光る。注視すると、肉眼でも6個から7個を見ることができ、双眼鏡や望遠鏡を使えば100個もの星が密集しているのがわかる。さらに、6日から7日にかけては月がプレアデス星団を隠す「食」が起きる。ただ月は非常に明るいため、双眼鏡でも見づらいかもしれない。

 おうし座は冬の星座で、目の辺りで赤く輝く1等星「アルデバラン」が目印となる。「アルデバラン」は「後に従うもの」という意味を持ち、プレアデス星団の後につづいてのぼってくることからその名がつけられた。アルデバランの辺りにも星の集まりがある。こちらはヒヤデス星団で、肉眼や望遠鏡で楽しめる。おうし座の牛は、ギリシャ神話では大神ゼウスが変身した姿だといわれている。ゼウスが姿を変えた牛は、美女エウロパに近づき連れ去った。そして行きついたのが現在のヨーロッパとされる。

 ところでおうし座に放射点を持つのが、おうし座南流星群とおうし座北流星群。「南」は5日、「北」は12日に極大を迎える。おうし座南流星群は、1時間に2個から5個と、流星の数は多くなく、また満月の影響があり条件は良くない。ただ時折火球が流れることがあり、今年、2025年は流星、火球ともに例年より多いのではないかという予想が出ている。18日にはしし座流星群が極大となる。月は20日に新月となるため、月明かりの影響は少なく、未明には1時間当たり5個ほど見られるかもしれない。

 一方、満月のそばで存在感を示した土星は「環の消失」が起こる。16年ぶりとなる環の消失は、3月と5月にもあり、今年3回目となる11月は、25日ごろに起こる。土星の環の傾きは毎年少しずつ変わっており、地球からは土星を北から見下ろしたり、南から見上げたりしている。土星は約30年かかって公転するため、地球からは約15年ごとに土星を真横から見ることになる。その時の環は、1本の線のように見えるはずだが、薄いため、「見えなく」なる。25日の土星は宵の南の空に見える。さて環は見えるか?

 そして、レモン彗星が観察のチャンスを迎えている。今年1月3日に発見された彗星で、発見当初はさほど明るくならないと予想されていたが、10月から11月にかけて肉眼で見えそうな程度まで明るくなることが期待されるようになったという。太陽に最も近づくのが11月8日午後10時ごろ(日本時間)で、この前後に彗星の活動がピークになると予想されている。明石市立天文科学館の井上毅館長は、「11月上旬まで、双眼鏡を使うと彗星らしい、尾を引いた姿が観察しやすいと思います」と話す。この彗星は計算では1000年以上の周期で公転していて、次回太陽に近づくのは約1100年後と予測されている。つまり最初で最後の観測のチャンスとなる。日の入り1時間後の西の低い空で、その姿を探したい。

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