近年、若い世代の中でも「終活」をする人が増えていると言われています。「デジタル遺産」「墓じまい」などといった言葉を耳にする機会が増えましたが、実際に若者の間ではどのような動きが見られるのでしょうか? 株式会社tayoriの代表取締役・直林実咲さんに話を聞きました。

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終活をはじめる若者が増加している理由を、直林さんは「彼らが育ってきた“時代”が関係している」と分析します。
「今の若い世代は、多感な時期に東日本大震災とコロナ禍を経験しています。『いつ大切な人との突然の別れが来るかわからない』という現実を、肌で感じてきた世代だと思います」(直林さん)

また、近年では終活が「死の準備」ではなく「いまをより前向きに大切に生きるための活動」へと変化しており、ポジティブに取り組む人が増えていると感じるとのこと。ちなみに直林さんの会社では「tayorie」というサービスを展開しています。これは、もしものときに備えて生前に登録したメッセージや情報をユーザーのエンディング判定(一定期間、応答がないなど)が行われた際に指定の相手に自動送信するというもの。
直林さんによると、同サービスを利用する人のうち10代〜30代が全体の約7割を占めているとのこと。特に女性の利用者が多く、20代後半〜30代前半の人の登録が増えているといいます。

さて、前述したように終活を「ポジティブなもの」としてとらえている人たちは、同サービス利用してどのようなメッセージを残しているのでしょうか?
「運営側ではメッセージ内容を閲覧できない仕組みになっています。ですが、ユーザーを対象に行ったインタビューによると、『愛情』『感謝』『その後どう生きていってほしいか』といった内容が多いですね。従来のエンディングノートのように“寿命を意識して書く”というよりも、『今は元気だけれど、もしものときのために』という目的で利用されている感があります」(直林さん)

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「明日はどうなるかは分からない」。そう考え、大切な人々に思いを馳せて取り組む若者世代の姿が垣間見えた取材でした。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip』2025年10月28日放送回より




