兵庫・播磨地区の秋祭り←「普通じゃない屋台」が登場するってホント? どんな屋台なん? 職人が解説 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

兵庫・播磨地区の秋祭り←「普通じゃない屋台」が登場するってホント? どんな屋台なん? 職人が解説

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 兵庫県播磨地域の秋を彩る祭り。その中心には、勇壮な屋台や神輿の姿があります。いにしえの時代には神輿を担ぐ事のみで五穀豊穣を祈っていたそうですが、いつしか神に奉納するための「屋台」が登場しました。

 さて、屋台と聞くと一般的には飲食物やグッズを売るための出店として立ち並ぶものを思い浮かべがち。ですが「河野建設屋台製作所」(兵庫県姫路市)の河野玄太朗さんによると、播磨で根付いているのは「播州屋台」なるもの。豪華絢爛な装飾が施された神輿屋台の総称で、地域ごとに異なる特徴を持ち、祭りの見どころのひとつであるとのこと。河野さんは「神輿=神様が乗るもの」「屋台=神輿のお供をするもの」と説明。どちらも担ぎますが、基本的な役割は異なるのだそう。

 河野さんはこの播州屋台を手がける職人で、新しい屋台を作る際にはまず地域の人々の声を丁寧に聞くことから始めるといいます。担ぎ手の人数・体格や希望する意匠など、打ち合わせを重ねながら図面を引いていきます。「単に作るのではなく、その町の文化を学び一緒につくり上げていくことが大切なんです」と河野さん。

美しく細やかな細工が見て取れる (提供:河野建設屋台製作所)
屋台に散りばめられた、美しく細やかな細工(提供:河野建設屋台製作所)

 加えて躯体の寿命の長さも重要なポイントで、そのためには「素材選び」がモノを言うのだとか。

「強度があり、細工を施しても美しい表情を見せる木材をじっくりと選定します。白木の魅力を生かして仕上げた屋台は、漆を施す前の姿を地域にお披露目します。この習わしは素材への敬意と町の誇りを表しています」(河野さん)

制作に取り組む河野さん (提供:河野建設屋台製作所)
制作に取り組む河野さん(提供:河野建設屋台製作所)
制作に取り組む河野さん (提供:河野建設屋台製作所)
制作に取り組む河野さん (提供:河野建設屋台製作所)

 完成すると、入魂式で地域に引き渡されます。会場には町中から人が集まり、熱気に包まれるそうです。「父の背中を見て育ちましたが、自分も同じ場に立つときの重みは格別です」と河野さんは明かします。

新調屋台入魂式の様子 (提供:河野建設屋台製作所外観 (提供:河野建設屋台製作所)
新調屋台入魂式の様子 (提供:河野建設屋台製作所)

 河野さんが営む製作所は戦後まもなく創業。80年以上にわたり屋台や神輿を手がけ、兵庫県内外で350台以上という実績を持ちます。河野さんはその三代目です。跡継ぎ修業のため東京の建設現場で現場監督を経験し、多くの職人たちをまとめる大切さを学びました。

「屋台づくりもビルと同じ。大工一人では成り立たないのです。金具屋や漆職人など多くの技術者との協力が不可欠。もはや屋台は総合芸術です。町民の思いを受けとめ、職人たちと形にしていくことが私の役割です」と述べ、取材をしめくくりました。

写真中央:河野建設屋台製作所 河野玄太郎さん  左:パーソナリティの谷五郎 右:アシスタントの洲崎春花
写真中央:河野建設屋台製作所 河野玄太郎さん  左:パーソナリティの谷五郎 右:アシスタントの洲崎春花

(取材・文=洲崎春花)

※ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」9/28放送分より

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