日本舞踊家・藤間蘭黄(ふじま・らんこう)が主宰する舞踊会「紫紅会(しこうかい)」が11月8日(土)、国立文楽劇場(大阪市中央区)で開かれる。100年近い歴史を持つ紫紅会が東京以外で公演を行うのは初めて。藤間一門の門弟ら26人が出演し、古典から新作まで16演目を披露する。

紫紅会は、人間国宝の藤間藤子(1907〜1998年)が1929年に創始した一門の舞踊会。戦中の中断を経て1947年に再開し、帝国劇場、新橋演舞場、国立劇場などで回を重ねてきた。第70回(2018年)には歌舞伎座で開催。今回は第73回にあたる。東京・国立劇場の閉場により開催継続が危ぶまれたが、「関西の舞台で新たな一歩を」と、国立文楽劇場での開催が決まった。
蘭黄は「長い歴史の中で初めての大阪公演。関西の皆さんに、隅田川沿いの稽古場に伝わる作品を楽しんで、江戸の香りを感じていただけたらうれしいです」と語る。稽古場には神戸や奈良、富山、佐賀、島根など全国から弟子が集まり、集中稽古を重ねているという。
公演の目玉は、上方舞・山村友五郎との「門司春秋(もじしゅんじゅう)」の再演。北九州市・門司を舞台に、弘法大師伝説や源平合戦、明治の港湾労働者たちの姿を描いた作品で、2021年に「東アジア文化都市2020−2021」交流式典で無観客初演された。今回は、有観客では初披露となる。「太古の昔から現代に至る門司の歴史をぎゅっと凝縮した作品。門司にこれだけの歴史と文化があったことを知ってもらいたい。1人の舞踊家が1つの作品の中で、さまざまな人物や自然を描くことができるという、日本舞踊の特徴も伝えられたら」(蘭黄)。
舞踊会では、「松の翁」「隅田川」「保名」「嫁菜摘」など、蘭黄の家に伝わる古典の名作が並ぶ。藤間藤子が振り付け、自身の1度だけのリサイタルでも踊った「松の翁」は、今回、89歳の藤間勘次の至芸で鑑賞できる。忠実にデザインを再現した着物や扇も見どころだ。「隅田川」では蘭黄が舟長を演じ、「保名」は藤間藤笛が素踊りで臨む。藤間莉佳子と藤間晃妃が踊る「嫁菜摘」、藤間巡子による「藤娘」なども。さらに、蘭黄が進める古典復元プロジェクト「代地撰集」から「菊慈童」が上演されるほか、5歳の岩川一花が初舞台を踏む「靱猿」、若手による「蜘蛛の拍子舞」「英執着獅子」など、幅広い世代の多彩な芸が花開く。
藤間蘭黄は、重要無形文化財「日本舞踊」総合保持者。古典の継承とともに、ゲーテ「ファウスト」、カフカ「変身」など海外文学を題材にした創作舞踊やファルフ・ルジマートフら世界的バレエダンサーとのコラボ作品にも挑戦、国内外で高い評価を得てきた。
公演の問い合わせは代地、電話03-5829-6130。
◆「第73回 紫紅会公演」
会場 国立文楽劇場 (〒542-0073 大阪市中央区日本橋1丁目12-10)
日時 11月8日(土)11:30開演
料金 自由席7000円、指定席10000円
問い合わせ 代地、電話03-5829-6130 メール shikohkai@daichi-fjm.co.jp





