バレーボール元女子日本代表の竹下佳江氏が、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、エグゼクティブアドバイザーをつとめるSVリーグ女子・ヴィクトリーナ姫路の戦いを振り返るとともに、セッターの役割について解説しました。

11月17日放送のラジオ関西『竹下佳江のいいな117ヴィクトリーナ』内でピックアップしたのは、ヴィクトリーナが開幕6連勝で迎えた、11月1日と2日のホームゲーム、SAGA久光スプリングス戦。昨シーズン、プレーオフで敗れた因縁の相手との対戦では、両日ともヴィクトリーナ・ウインク体育館(姫路市)に満場の観衆が集うなど期待が高まりましたが、1日がセットカウント0-3、2日がセットカウント2-3と、今シーズン初の連敗。悔しい結果に終わりました。
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――試合全体を見ていかがでしたか?
【竹下氏】 残念でしたね。2日に関しては、かなりギリギリの戦いで、惜しかったんですけどね。1日があっさり負けてしまって、選手を見ていても「疲れてるのかな?」「身体にキレがないな」という印象がありました。この日の久光さん側のアタック決定率が49.1%に対して、ヴィクトリーナが32.5%。やはり決め切れていないのが数字でも出ていますし、そうなると、ああいった試合展開にもなってしまうなというゲームメイクでした。でも、2日の方はいい試合でした。サイドのアタック率も上がっていますし。一方で、本数も多いので、疲労の心配はありましたね(※2日はカミーラ・ミンガルディ選手が69本のアタックを記録)。あと、ここにセッターの2人(櫻井美樹選手、大島杏花選手)がどうゲームメイクしていくかが課題になってくると思います。
――セッターのゲームメイクとは?
【竹下氏】 監督やチームとの、ある程度の戦略というのは、もちろんあります。ですが、バレーというのは試合が始まってしまえば、ボールを拾ってからの瞬間的な最終的な判断というのはセッターに委ねられます。パスが返ってくるのか、こないのか……。こうなると、サーブレシーブを行う選手も関係してきますよね。ここでセッターが上手く動くと、フルセットに持ち込んで良いゲームとなるか、逆にストレートでリズムよく勝利できるかのどっちかになってくると思います。
――そんなセッターにとって一番重要な点とは?
【竹下氏】 これは個人的な観点もあります。そもそも順番がつけにくいですが……強いて言うなら、スパイカー(アタッカー)をいかせるトスを上げられないとチームが回らないので、そこの基本的な、ベースとなる技術がないと難しいかなと思います。もちろん、それは他のポジションにも言えますが、技術を磨くのは、もうひたすらに、とにかく練習しかありません。誰よりもボールを触ることですね。あと、セッターに必要なのはチームメンバーの体調やその日のコンディション、(良い意味での)人間観察、コミュニケーションがいると思いますね。
――スパイカーをいかすとは?
【竹下氏】 スパイカーによって打点は違いますよね。身長や身体能力が違うので。あと、さっきの人間観察というところなのですが、なぜするかといえば、選手のコンディション、日によってのジャンプする・しないや、助走が速い・遅いなど(の把握)があります。そういったことを注意深く見ているんですが、「見て、合わせる」、これが練習で(の積み重ねで)あり、コミュニケーション(の大事さ)です。日々の練習で覚えて、手の中で間を合わせてトスを出す。スパイカーをいかすというのはそういうことですね。だから、バレーってコンビが長くなるんですよね(笑)。そうなると、いろんな選手が入ってくるって、かなりセッターは大変です!


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今シーズンのヴィクトリーナは、ここまでの14試合で選手を満遍なく起用。母国タイでリハビリのため戦線離脱中の女子タイ代表チャッチュオン・モクシー選手を除いて、登録メンバー全員が、すでにリーグ戦に出場済みです。多くのスパイカーと息を合わせるセッターの苦労も垣間見えますが、それと同時に、バレーでは数多くの選手を使えると戦略の幅も広がることが、竹下氏の話からわかりました。ヴィクトリーナが上位争いを続けるためにも、櫻井選手、大島選手の今後の舵取りに大いに注目したいところです。
ヴィクトリーナはSVリーグ次戦で、11月29日と30日に、クインシーズ刈谷とのアウェイ戦に臨みます。会場はウィングアリーナ刈谷(愛知県)です。
※ラジオ関西『竹下佳江のいいな117ヴィクトリーナ』2025年11月17日放送回より





