温泉を最初に見つけたのは「鳥」?それとも「お坊さん」?城崎に伝わる“湯の物語”とは【兵庫・豊岡】 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

温泉を最初に見つけたのは「鳥」?それとも「お坊さん」?城崎に伝わる“湯の物語”とは【兵庫・豊岡】

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 兵庫県北部に位置する豊岡市といえば「城崎温泉」。志賀直哉を始めとした多くの文人墨客が訪れた温泉地の誕生秘話を「城崎温泉観光協会」の担当者に聞きました。

城崎温泉・「一の湯」前(画像提供:城崎温泉観光協会)

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 城崎温泉の周辺には「山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク」として認定されている景観が広がり、海・山・高原・川など、四季を通じて様々な自然を感じられるといいます。また、近海で捕れた海産物(松葉蟹・白いか・モサエビなど)や但馬牛、出石そば、但東シルクコーンなど各地域でのグルメも豊富だとか。

 開湯にあたっては「2つの説」が存在すると担当者。

【その1:道智上人説】いまから1300年以上前の717年、この地を訪れた僧侶・道智上人。難病の人々を救う為に当所鎮守・四所明神の神託により1000日間の修行を行った末、720年に温泉が湧き出したとのこと。

【その2:コウノトリ説】市のシンボル的存在であるコウノトリも関係するとか。約1400年前、大谿(おおたに)川上流の大きな松の木の上にコウノトリが巣をつくっていました。彼らの内、足を痛めた1羽が田に降り立って水に足を浸していましたが、数日後には元気よく飛び立って行ったのだとか。これを見た里人がその場所を調べてみると湯が湧いていたという伝承があり、城崎温泉にある7つ(うち1つは長期休業中のため現在は6)の外湯のひとつ「鴻の湯」の名称もこの話にちなんでいるそう。

 この湯には「2羽のコウノトリ夫婦が足の傷を癒した」という話も伝えられており、夫婦円満のご利益があるとされ、別名”しあわせを招く湯”と呼ばれているのだとか。「敷地内にある鴻の湯神社は、薬師如来が祀られていた元薬師『円満寺』の跡ということが由来しています」と担当者は話しました。

現在の「鴻の湯」の様子(画像提供:城崎温泉観光協会)

 城崎温泉周辺では、観光客が安心して「そぞろ歩き」を楽しめるように、交通環境の改善にも取り組んでいるそうです。歩行者天国の社会実験や交通ルールの制定、バイパス整備の検討、無電柱化事業などを実施しています。その他、豊岡市を中心に観光DX基盤を活用し、利便性の向上とデータに基づく戦略的な取り組みを実施し、各地域とも連携を進めているそう。

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「駅は玄関、道は廊下、宿は客室、外湯は大浴場です」と担当者。街全体が一つの旅館として“共存共栄”の考え方が根付いている城崎エリアについて「鴻の湯以外の温泉(外湯)にもそれぞれ言い伝えがあります。文人墨客が愛した街並みを散策しながら、外湯めぐりを楽しんでもらえれば」とコメントし、インタビューを締めくくりました。

城崎温泉・周辺地域の様子(画像提供:城崎温泉観光協会)

(取材・文=長塚花佳)

※ラジオ関西『Clip』水曜日 2025年12月10日放送回より

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