他者への理解と共感を訴える絵本『あらしのよるに』 影絵×体×音楽で新たに再構築

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 新開地アートひろば(兵庫県神戸市)で、きむらゆういち氏の絵本『あらしのよるに』を原作とした舞台公演が19日(金)から開催される。

『豊岡演劇祭2025』でのプレ公演でも、演劇・ダンス・影絵の枠を超えたボーダーレスな舞台として大いに話題となったが、さらにバージョンアップしての上演となる。

 平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)には、パフォーマンスカンパニーto R mansionの江戸川じゅん兵さんと、新開地アートひろばの横山春乃さんが出演。作品の魅力を伝えた。

パフォーマンスカンパニーto R mansionの江戸川じゅん兵さん(写真中央右)と、新開地アートひろばの横山春乃さん(同中央左)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 原作『あらしのよるに』は約30年前に発刊され、いまなお多くの読者に愛され続けている人気絵本。

 物語は、暗闇のなかで出会うオオカミとヤギの不思議な関係性を描く。互いを知らない状況から、「食べる」か「食べられる」かという生存をかけた緊張関係のなかで徐々に友情が芽生えていく。人種、肌の色、社会的地位に関わらず、互いを理解することの大切さが描かれている。

 兵庫県・豊岡市出身の江戸川じゅん兵さん率いるto R mansionは、世界18か国87都市の劇場や演劇祭、フェスティバルから招聘される実力派パフォーミングアーツ集団だ。

 平田さんは、「『豊岡演劇祭2025』では開会式も担当していただいた。学校のアウトリーチ活動も本当に上手で、巻き込み力が素晴らしい」と太鼓判を押す。

 今回の公演は、ある種、“魔法のような”表現技術で観客を魅了する。

 川村亘平斎氏の影絵はインドネシア・バリ島の伝統的影絵「ワヤン・クリット」を現代的な文脈でとらえなおしたもので、その独創性は従来の影絵の概念を大きく超えている。観客は、光と影が織りなす繊細で詩的な世界に引き込まれていく。

 そのほかにも、数々のメディアで活躍するパントマイムパフォーマー・角谷将視氏、国内外の著名ダンサーの振り付けに携わる踊子・大宮大奨氏、現代サーカスへの楽曲提供でも知られるイーガル氏ら、一流のパフォーマーたちが顔をそろえる。

 江戸川さんは、彼らを「日本で最も信頼できるパフォーマーたち」と評価。プロフェッショナルたちの息の合ったパフォーマンスは必見だ。

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