1年の世相を漢字1文字で表す恒例の「今年の漢字」。
30年の節目となる今年(2025年)は「熊」が選ばれた。世界文化遺産・清水寺で12日、森清範貫主が揮毫(きごう)した。

公益財団法人・日本漢字能力検定協会(本部・京都市東山区)が主催。第1回は阪神・淡路大震災が起きた1995(平成7)年で、「震」だった。今年で31回目となる。
「熊」が選ばれたのは初めて。動物では、プロ野球・阪神タイガースの19年ぶりリーグ優勝で盛り上がった2003年の「虎」以来2回目。
2025年は、全国各地でクマの被害が相次ぎ、市街地にまでクマが出没するなど、生活や経済活動にも深刻な影響を及ぼし、人と自然との共存について考えるきっかけになった。 投票数18万9122票のうち、「熊」を挙げたのは2万3346票で全体の12.3%だった。

クマをめぐっては、政府が「クマ被害対策パッケージ」を取りまとめ、緊急対策を講じた。自治体からの駆除要請を受け自衛隊も出動する事態となり、全国各地でイベントの中止や学校の休校が相次いだ。
また、「熊猫(パンダ)」が中国に返還されたことも影響した。和歌山県・白浜町にあるテーマパークアドベンチャーワールドで飼育されていたジャイアントパンダ全4頭(良浜、結浜、彩浜、楓浜)が6月に中国へ返還され、日本のジャイアントパンダは、来年返還予定の東京・上野動物園の2頭だけになった。

2位は「米」。「熊」とは180票差だった。昨年から続く「米」価格の高騰と備蓄「米」の放出、日本の「米」生産や農業について考えた。一方、「米」国のトランプ大統領就任と相互関税による混乱など、大きな影響を受けたのが理由。
3位は、高市早苗氏が女性初の内閣総理大臣に就任したことから「高」、
4位は大阪・関西万博のキャラクター「ミャクミャク」の人気を反映して「脈」。
5位は万博の「万」。
6位は自公連立政権の枠組みの変化、国内最高気温の更新、AIの進化などから「変」。
7位は万博のほか坂口志文氏と北川進氏の2人の博士のノーベル賞受賞から「博」。
8位は女性初の首相就任や女性市長の騒動などから「女」。
9位は高市新首相、AIなどの新技術から「新」。
10位は女性初の首相、イチロー氏の日本人初の野球殿堂入りから「初」が選ばれた。

揮毫した森清範貫主は当初、「米」を予想していたが、「クマの出没は、地球の自然環境が変わってきた証拠といえる。被害に遭い、亡くなられた方々をお悔やみ申し上げるとともに、お怪我をされた方々にお見舞い申し上げる。私たちは、自然と人間との関わりを真剣に考える時期にきているのではないか」と語った。





