神戸市立王子動物園(神戸市灘区)内にある重要文化財「旧ハンター住宅」の一般公開が28日(日)で終了する。耐震化工事の準備に入るためで、工事は解体して実施、再建にあたっては異人館が集中する北野地区(同市中央区)への移築が検討されている。60年以上にわたって公開され、神戸の異人館文化を紹介してきた建造物がその役割にいったん区切りをつける。
旧ハンター住宅は、現存する神戸の異人館の中で最大規模を誇る洋館。1889(明治22)年ごろ、ドイツ人が英国人技師に頼んでつくったものとされる。その後、英国人実業家エドワード・ハズレット・ハンター氏が北野町の高台に家を構えるにあたり建物を購入、改築した。1963(昭和38)年に王子公園に移築され、1966(昭和41)年、国の重要文化財に指定された。
木骨れんが造り2階建て(一部3階建て)で、塔屋を備える造りが特徴。寄棟造の屋根や列柱式の重厚なベランダ、精巧な窓枠装飾など、細部にわたる意匠が見どころで、内部には玄関ホール、書斎、食堂、応接室などがある。大理石のマントルピース、英国から取り寄せたステンドグラスなど、明治期の富裕外国人の暮らしぶりをうかがわせる空間が残る。
1995年の阪神・淡路大震災で、2本ある煙突のうち1本が折れ、室内に落下。また、東側の広縁部が崩壊するなど大きな被害を受けたが補修を行い、美しい姿を取り戻した。
一般公開は残すところ27日(土)と28日(日)の2日間のみ。午前9時~午後4時半(動物園入園は4時まで)で、観覧無料(動物園入園料が別途必要)。建物の外観は桜の時期ごろまでは引き続き見学できるという。





