居留地の外国人たちとの試合、日本初のゴルフコース、甲子園にまつわるエピソード。明治から昭和初期にかけての兵庫県のスポーツ史をたどる企画展「近代スポーツと兵庫―明治・大正・昭和初期を回顧する―」が兵庫県立兵庫津ミュージアム(神戸市兵庫区)で開かれている。150年以上にわたり紡がれてき兵庫のスポーツ文化を県内各地に残る貴重な資料で振り返る。2026年3月15日(日)まで。

3章で構成。第1章では1868(慶応4)年、開港と同時にできた外国人居留地、そこで暮らす人々によってさまざまなスポーツが持ち込まれた様子を当時の写真を交えて紹介している。1876(明治9)年に完成したレクリエーショングラウンド「東遊園地」(神戸市中央区)でのクリケット試合や運動会のほか、1903(明治36)年に誕生した日本初のゴルフコース「神戸ゴルフ倶楽部」のオープン当日の集合ショット、ふもとからコースまでの山道をかごに乗って登る姿を捉えたパネル写真も。西洋のスポーツに日本人が馴染み、ともに楽しむ文化として受け入れていった様子が見て取れる。

第2章では、県内の学校に残る“お宝”が登場。1925(大正14)年、バスケットボール県大会で優勝し全国大会に出場した柏原高校(当時:柏原高等女学校)の予選優勝旗や1933(昭和8)年、陸上競技対校選手権全国大会で、小野高校(同:小野中学校)が優勝した際の盾などが公開されている。同全国大会の100メートル走、走り幅跳び、棒高跳び、三段跳びで1位を獲得した井上増吉(1914~2010年)は、その後小野市長となった。


第3章は「近代スポーツの大会・施設」を特集。日本が初めてオリンピックに参加したストックホルム大会(1912[明治45]年)で、国際オリンピック委員会委員として立役者的な働きをした嘉納治五郎(1860~1938年)や、1913(大正2)年~1934(昭和9)年に開催された「極東オリンピック」での県内学生の活躍ぶりなどにスポットをあてる。さらに1924(大正13)年、兵庫県武庫郡鳴尾村に完成した「甲子園大運動場」(甲子園)で、スキージャンプ大会やプールでナイターが行われていたという歴史を当時の写真を入れて紹介している。

そのほか戦後、鬼塚喜八郎が神戸市内で創業した「鬼塚商会」(現在の「アシックス」)が1950年代に販売していた足袋状のマラソンシューズや「美津濃」(同「ミズノ」)が昭和元年に発行した運動用品カタログなど、今とは異なるスポーツ用品も見どころ。さらに、阪神タイガースの近本光司選手やWBCに出場した大勢選手のユニフォーム、東京オリンピックの舞台で戦った柔道家、阿部一二三選手と詩選手の柔道着、フィギュアスケートの坂本花織、三原舞依選手が着用した上着など、現在活躍中の兵庫ゆかりのスポーツ選手に関するコーナーもある。





