不用品回収や買取をめぐっては、過去に高額請求などのトラブルが相次ぎ、いまも業界全体に不信感を抱く人は少なくない。生活に身近なサービスである一方、透明性や信頼性が強く求められる分野でもある。
こうした課題のなか、兵庫県加古郡稲美町にある不用品回収・買取会社では、業界の信頼回復を意識した取り組みを続けている。
相場屋の社長、杉井資康さんは、事業を始めた17年ほど前を振り返り、「荷物を積んだあとに法外な金額を請求するような業者も正直多かった」と話す。

創業当初は、家族と軽トラック1台で現場を回るところからのスタートだった。現在は、カバンや食器、靴などの生活雑貨や家具類を中心に回収・買取を行い、国内での再販のほか、東南アジアを中心とした海外への輸出にもつなげている。
輸出の背景には、各国の事情もある。例えば一部の国では自然林の伐採を制限する法律があり、新たに質の高い家具を製造することが難しいという。耐久性のある日本の家具は、そうした地域で再利用されている。

また、直接の持ち込みによる回収・買取にも対応しており、出張に比べてコストを抑えられる点から、個人や小規模事業者の利用も増えているという。
業界全体の底上げを図ろうと、杉井さんは遺品整理業者などが集まる勉強会にも参加し、情報共有や意識向上にも力を入れている。近年は、着物や漆器、掛け軸といった日本の伝統品が十分に評価されないまま処分されてしまう現状に課題を感じていると語る。
「日本の伝統的な品が、海外で正しく評価される流れをつくりたい」。不用品回収・買取の現場で続く模索は、業界が抱える課題と今後の方向性を映し出している。

※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より




