開館以来の中核コレクション一堂に 兵庫陶芸美術館 20周年特別展「丹波焼の美」 萩原学芸員が解説

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「赤土部徳利(あかどべとっくり)」は江戸時代前期の徳利です。器肌に塗土(ぬりつち)した土部が多彩な変化を見せています。緋色や紫がかった褐色、黒色など、器肌の発色にグラデーションが表れています。また、器体に灰が激しく降り掛かり、火表に黄色の窯変が生じています。底裏に「太右衛門」の彫銘が刻まれています。

 木製の手桶に倣って作られた水指「灰釉手桶形水指 銘 日本海(かいゆうておけがたみずさし めい にほんかい)」は、胴部の上下に金属製の箍(たが)を表した粘土紐を貼り付け、胴部にクシ状の工具で木目を表現した波上の線を巡らせています。器面に刷毛塗りした灰釉が焼成によって変化し、斑の文様が見どころとなっています。

赤土部徳利 あかどべとっくり 江戸時代前期 17世紀

灰釉手桶形水指 銘 日本海 かいゆうておけがたみずさし めい にほんかい 江戸時代前期 17世紀

 形がユニークな徳利「色絵桜川文徳利(いろえさくらがわもんとっくり)」も。ロクロで薄く成形したやわらかい器体を指で3か所押して変形させ、別に作った頸部も同様に窪ませて左右非対称の造形を作り出しています。器体に白土を塗土した後、胴部に川面を流れる桜の花びらを丁寧な筆致で描いています。底裏には「直作」の印銘が見られます。

「色絵立鶴文徳利(いろえたちづるもんとっくり) 一対」は、ロクロで薄く挽いた器面に白土と鉄絵で立鶴の姿を丁寧に描画。この描写が江戸時代中期に京都で活躍した絵師・円山応挙(1733~95年)の作品に見られる写実的な表現に似ていることから「応挙徳利」と呼ばれています。

色絵桜川文徳利 いろえさくらがわもんとっくり 江戸時代後期 19世紀

色絵立鶴文徳利(一対) いろえたちづるもんとっくり 江戸時代後期 19世紀

 本展は全5章構成で、約100点を出品しています。従来の丹波焼のイメージを覆すような作品も多数あり、新鮮な出合いがあるかもしれません。兵庫県が誇るやきものの多様な美を、ぜひ本場の地でご鑑賞ください。
(兵庫陶芸美術館学芸員・萩原英子)

※所蔵はすべて兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)兵庫県指定重要有形文化財

◆開館20周年記念特別展「丹波焼の美―田中寛コレクションを中心として―」
会場 兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4)
会期 2025年12月6日(土)~2026年2月23日(月・祝)
開館時間 10:00~17:00(入館は閉館時間の30分前まで)
休館 月曜日と1月13日(火) ※1月12日(月・祝)と2月23日(同)は開館
観覧料 一般700円、大学生600円、高校生以下無料
電話 079-597-3961(代表)、FAX 079-597-3967

兵庫陶芸美術館公式HP https://www.mcart.jp/

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