江戸時代の「びいどろ」から精妙な装飾の杯、ビーカー、義眼まで 神戸市立博物館「ガラスとともに」

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 インパクトが大きいのは「ガラス義眼」(明治17年~明治時代後期)だ。播磨国多可郡石原村(現在の兵庫県西脇市黒田庄町)出身の眼科医・高橋江春(1854~1938年)が開発、製造したもので、国内初の実用的なガラス製義眼として、日本の眼科史に残る製品である。展示では、大きさや色味が異なる半球状の義眼が、専用箱に20個あまり収まっている。100年以上の時を経てもキラキラ輝く“瞳”に圧倒される。そのほか、天然痘のワクチンを収めた「ガラス牛痘盤」、小さなガラス瓶入りの「富山売薬」など、時代背景が浮かぶ品々も並ぶ。

ガラス義眼 高橋江春製 明治17年―明治時代後期(1884―1912)
ガラス義眼 1箱25点一式 高橋江春製 明治17年―明治時代後期(1884―1912)

 展覧会を締めくくる「エピローグ」には、精妙な装飾が施された逸品「手彫り切子金赤にエアーツイストガラス脚付杯」(1877~87年)が置かれている。脚部に、金で発色した赤色ガラスなどを螺旋(らせん)状に入れた杯で、明治時代前期に日本でつくられたものと考えられている。その技術力の高さに驚くとともに、手に取って眺めていたであろう、当時の人々の胸の高鳴りを想像せずにはいられない。

 中山学芸員は「ガラスは現代の私たちの生活でごく当たり前の存在だが、江戸時代は非常に貴重なものだった。身近な存在になっていく過程を知ってもらうとともに、ガラスという透明な素材の魅力や不思議さを感じてもらえたら」と話した。

手彫り切子金赤にエアーツイストガラス脚付杯 品川硝子製造所製か 明治10-20年(1877-87)

 会期中、地理学者・秋岡武次郎(1895~1975年)の収集品を紹介する「秋岡図書―地理学者のコレクション―」を同時開催している。

◆受贈記念特別展「ガラスとともに―玻璃文庫名品撰」/特別展「秋岡図書―地理学者のコレクション―」
会場 神戸市立博物館(〒650-0034 兵庫県神戸市中央区京町24)
会期 2026年2月28日(土)~4月5日(日)
開館時間 9:30~17:30 金・土曜日は20:00まで(いずれの日も入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜
観覧料 一般1200円、大学生600円、高校生以下無料 ※両展は共通観覧券。同観覧券で2階コレクション展示室も入場可。

神戸市立博物館 公式HP

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