現代に息づく万葉集の世界を表現 最優秀は横浜市15歳、優秀に神戸市77歳 奈良大の写真コンテスト

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 奈良大学(奈良市)は学校法人奈良大学の創立100周年記念事業として実施した「『奈良万葉』写真コンテスト」の入賞作品をこのほど発表。万葉集の世界観を現代の風景で表現した力作10点を公表した。コンテストは写真家・井上博道さん(1931~2012年)の作品を紹介する「井上博道記念館」(同市)と共催、万葉集の歌に着想を得た写真作品を2025年12月から2026年1月にかけて募集したもので、15歳から82歳までの109人による計162点が寄せられた。

奈良大学(奈良市)

 審査の結果、一般の部で最優秀賞1点をはじめとする計10作品が入賞した。最優秀賞に選ばれたのは、横浜市の大山尚希さん(15)の作品。放課後の校舎に差し込む夕日を捉え、万葉歌「我がやどの いささ群竹(むらたけ) 吹く風の 音のかそけき この夕(ゆふへ)かも」の世界観を表した。静寂の中で生まれる寂しさなどの繊細な感情を、光と空気感で巧みに写し取った点が高く評価された。

 優秀賞に選出されたのは、兵庫県神戸市の中本則昭さん(77)の作品。奈良市の春日大社参道で撮影された写真は、万葉歌「泣沢(なきさは)の 神社(もり)に神酒(みわ
)据ゑ 祈れども 我が大君は 高日知らしぬ」を題材とし、紅葉、参道、灯籠、シカ、木洩れ日が織りなす神秘的な一瞬を切り取った。画面構成の安定感も好評を得た。

<最優秀賞>大山尚希さん(15)
<優秀賞>中本則昭さん(77)

 そのほか井上博道記念館賞に静岡県御殿場市の岩浅利泰さん(77)と奈良市の弓場妙恵さん(55)、奈良大学賞に京都府長岡京市の小和泉春男さん(75)と奈良市の柴田こはるさん(15)が選ばれるなど、幅広い年代の人が受賞した。

 審査員を務めた写真家の田中仁さんは「被写体や構成などの撮影技術だけではなく、万葉集の理解と想像力が必要だった。今回は多彩な撮影地、多様な方々の応募が多くみられ、万葉集にふさわしい内容となった。特に若い世代の想いと感性が生かされた作品に秀作が多く、将来が楽しみ」と期待を寄せた。

 同じく審査にあたった鈴木喬・奈良大学文学部国文学科准教授は「万葉集は奈良時代に成立した現存最古の歌集。万葉人の言葉と令和に生きる我々の心とが重なり、万葉集の時代から感性はあまり変わらないのだと感じた。応募者それぞれの体験、感性に引きつけ、魅力的な作品を作り上げてもらった。どれも素晴らしかった」と講評した。

万葉集
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