サッカー・女子の「2025/26 SOMPO WEリーグ」は、29日、第17節の2試合が行われ、INAC神戸レオネッサはホームのノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)でジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦。エースFW吉田莉胡選手や、なでしこジャパン(日本女子代表)MF成宮唯選手らのゴールで4-0と快勝し、首位をキープした。
今季のリーグ戦は残り5試合。WEリーグがスタートした2021-22シーズン以来となる女王の座奪還に向け、INAC神戸のラストスパートが始まった。
なでしこジャパンが優勝を飾ったAFC女子アジアカップオーストラリア2026(女子アジア杯)の開催のため、約1か月間中断していたWEリーグ。その再開初戦で、INAC神戸は優勝をつかみ取る意気込みを示した。
前半こそ、千葉の可変システムによるパスカットに手を焼き、なかなかボールをつなげなかったINAC神戸だが、後半早々に均衡を破る。
相手DFのハンドの反則により得たPKを、53分(後半8分)に古巣対決となったMF大熊環選手が冷静に決めて先制。背番号25の移籍加入後初得点で、流れを一気に引き寄せた。
64分(後半19分)にゴールネットを揺らした吉田選手のプレーはオフサイドと判定されたものの、77分(後半32分)にはFW辻澤亜唯選手のシュートを相手GKが弾いたところに成宮選手が詰めて貴重な追加点を記録。
その4分後にはペナルティーエリア内で成宮選手から「打ってください」と言わんばかりの落としに吉田選手が反応し、リーグ戦5試合ぶりのゴールを決めた。
ゴールラッシュは止まらず、終盤の85分(後半40分)には、ダメ押し点も生まれた。この試合がWEリーグデビュー戦となった16歳のMF大田ありす選手からパスを受けたFW久保田真生選手が、ドリブルで右サイドを持ちあがって強烈なシュートを放つと、ボールはクロスバーに当たって千葉ゴールに入った。
守備でもなでしこジャパンGK大熊茜選手を中心に相手に得点を許さず、クリーンシートで終えたINAC神戸。勝点を41に伸ばした。

「リーグ戦が再開してすごく重要な試合になることは私自身も感じていましたし、選手もそのあたりをものすごく意識して取り組んでくれたと思います」と振り返ったのは、INAC神戸の宮本ともみ監督。
「前半は攻守ともに苦しみましたが、じれることなく、後半はINAC神戸らしい攻撃と守備が出せたと思います。1点だけでなく2点、3点と積み上げていく。そういったところを狙っていくというのは、チーム全体、(試合途中から)代わってピッチに入った選手も出してくれていたと思います。それが結果として形になったのは素晴らしいと思いますし、選手たちに感謝しています」とイレブンを称えた。
リーグ戦の中断期間中、チームは「2025/26 WEリーグ クラシエカップ」で1勝1PK負け2敗と結果を残せず、グループステージ敗退という悔しい結果に終わっていたが、その悪い流れを断ち切った。
自身も久々のゴールとなった吉田選手は「自分のゴールできょうはチームを勝たせたいという気持ちがあったので、感極まっちゃったんですけど……」と、まずはオフサイドにより自身の得点が取り消しとなった場面を回顧。
「でも、あれがあったからこそ、まだ試合終了まで15分ぐらいあったので、絶対にチャンスは来ると信じて、しっかり決めました。(成宮)唯さんが、シュートを打たせるようなアシストをしっかりとしてくれたので、唯さんに感謝したいと思います」と安どの表情を浮かべた。
ボールが成宮選手に渡るのに合わせてゴール前へと侵入した点については「唯さんだからこそ、ああいう動きは見てくれると思いますし、すごく分かり合えている」とホットラインの健在ぶりを強調した。
成宮選手も自身の得点よりも先に、吉田選手のゴールに言及。「自分がより多くのチャンスメイクをして、きょうに関してはチームが本当に上に行くために、(吉田)莉胡の得点というのは、自分もずっと意識していた部分でもあったので、取って、乗ってもらうためにというのがありました」「自分は(ゴールに対して)後ろ向きで、莉胡が前向きに入ってきてくれたので、可能性を考えて、シュートを打ってほしいというメッセージを込めてパスを出しました」と、エースFWを勇気づけた得点シーンを明かした。
取るべき人が得点を奪っての勝利に、指揮官も笑顔。吉田選手については、「(無得点の試合が続いて)たぶん彼女自身が一番苦しい時間を過ごしたと思いますし、他の選手も取らせたいと思っていたと思います。(オフサイドの判定もあって)心理面でも難しかったと思いますが、しっかりと立て直して決めきるのは、これまでの努力の積み重ねがつながったと思います」と評価する。
また、成宮選手についても、「女子アジア杯で長期間チームを離れていましたが、帰ってきてからリーグ戦に対する思いをみんなに話してくれていました。トレーニングの中でも、そういった思いをしっかりと見せてくれています。きょうも試合でそれを体現してくれて、しかも得点まで取ってくれた。守備でもきょうのボール奪取の回数はかなり多いと思います。攻守両面でチームを引っ張ってくれて大変感謝しています」と、宮本監督は頼れる10番に賛辞を送った。
今季11ゴール目を挙げ、不振から脱却した吉田選手。「ずっと遠ざかっていたゴールをきょう取れたので、これをきっかけにゴールを量産したいです。(2ゴール差の2位につける)得点王もあきらめていないので、たくさんゴールを取って……。一番はチームの優勝ですが、そこに自分がゴールで貢献できるようにやっていきたいと思います」と、リーグ優勝と得点王の獲得に闘志を燃やしていた。
エースと大黒柱が結果を出し、若手とベテランがかみあったなかでつかんだ大勝。強いINAC神戸がよみがえった。
(取材・文=北川信行)






