神戸市立王子動物園内に設置され、長年市民に親しまれてきた蒸気機関車「D51 211号」が、園の再整備に伴い移設されることになった。このほど市が発表した。移設先は、“生まれ故郷”である旧国鉄鷹取工場跡地に隣接する須磨区内の公園。移設に向けて5月下旬からSLを仮囲いし、夏ごろには引っ越し作業をスタートする予定だ。
D51 211号は1938(昭和13)年、鉄道省の鷹取工場で製造された記念すべき第1号機。戦後の復興期を支え、総走行距離は約180万キロに達し、地球約45周分に相当する。引退後の1971(昭和46)年、当時の日本国有鉄道から無償貸与され、園に設置された。同年6月から王子動物園で展示、55年にわたって親子連れや鉄道ファンらに愛されてきた。
車両は全長約20メートル(機関車約12メートル、炭水車約8メートル)、最大幅約3メートル、高さ約4メートル。重量は約88トンに及ぶ堂々たる姿を誇る。さらに、1991年には車掌車2両(全長約15メートル、総重量約19トン)が連結された。
今回の移設は、動物園リニューアルに伴うもので、車両を保存するだけでなく、「未来に生きる機関車」をコンセプトに再利用していきたい考えだ。移設先は鷹取工場跡地隣の「下中島公園」。新天地では自由に観覧できる環境を整え、子どもや若者の交流拠点としても活用される予定。歴史的価値を持つ産業遺産として、次世代へ継承していくねらいもある。
移設に向けた準備は5月下旬に始まり、まず本体の補修作業や仮囲い設置が行われる。その後、夏ごろに本格的な移設作業と公園整備に着手する見通し。安全確保の観点から具体的な移設日は公表されない。仮囲い設置以降は園内での観覧はできなくなる。移設先の整備が完了後、あらためて再公開の時期が公表される予定。
これに先立ち、最後の機会として特別観覧が実施される。通常は立ち入ることができない職員エリアから間近で観賞できる貴重な機会で、5月16日(土)と17日(日)の2日間限定。両日とも午前と午後に2回ずつ、各回50人の先着順。午前の部は9時半、午後の部は11時半に、園内の動物感謝碑前広場で参加券を配布する。参加無料(別途入園料が必要)。観覧に関して変更がある場合は、動物園のホームページとXで告知する。





