『はらぺこあおむし』、「ノンタン」シリーズ、『からすのパンやさん』―。幼児から大人まで幅広い世代に愛されてきた名作絵本の世界を体感できる特別展「ずっとつながる えほんの世界 ―偕成社 子どもの本展―」が神戸ファション美術館(神戸市東灘区)で開かれている。出版社「偕成社」(東京都新宿区)の創業90周年を記念した展覧会で、長年読み継がれてきた名作絵本の魅力に加え、原画や編集資料、映像などを通して作品が生まれた舞台裏も紹介。会場内に設置されたさまざまなフォトスポットで物語に“入り込む”こともできる。8月30日(日)まで。

1936年創業の偕成社は、日本を代表する児童書出版社の1つ。絵本から児童文学まで、タイトルを聞けば内容が浮かぶような名作を数多く世に送り出してきた。同展では、絵本の内容を再現した展示物のほか、原画・複製原画25点、ラフスケッチ・編集資料45点などふだんは見ることのできない貴重な資料も公開。
見どころの1つは、鮮やかな色彩と独特のコラージュ表現で知られる世界的ベストセラー『はらぺこあおむし』のコーナー。巨大な絵本のレプリカや名場面を再現した展示物が並び、作品の中を歩いているような感覚になる。さらに作者エリック・カールさん(1929~2021年)と偕成社編集部が出版に関してやりとりした手紙を初公開。

子どもたちに絶大な人気を誇る「ノンタン」シリーズのコーナーも注目だ。作者キヨノサチコさん(1947~2008年)による原画やラフ原稿がずらりと並び、愛らしいキャラクターがどのように生まれたのかをたどることができる。編集者による作品にまつわるエピソードや作家の人となり紹介もあり、シンプルで親しみやすい絵の裏にある作者の思いに触れることができる。


かこさとしさん(1926~2018年)の「おはなしのほん」シリーズでは、代表作『からすのパンやさん』を中心に、複製原画を展示。化学会社の研究所に勤めていたかこさんが絵本を出版することになった経緯や長年取り組んでいた子どもたちに向けた社会事業についてパネルや映像で紹介している。映像には戦後、物資が不足する中で、かこさんが子どもたちに創作活動の楽しさを教える様子などがつづられている。






