何気なく座る。眠る。寄りかかる。子どもを抱く。親子が並んで過ごす。そんな日常の一瞬に宿る身体の重さや気配を、1本1本の繊細な線で描き出すドローイングアーティスト「comic_keema(コミックキーマ)」さんの個展が19日(水)から神戸阪急(神戸市中央区)本館4階アートギャラリーで開かれる。

本展のテーマは「GRAVITY(重力)」。重力という目に見えない力に身をゆだねたとき、身体にはその人自身の「重さ」が現れる。力を抜いて座る姿、眠りに落ちた身体、誰かに寄りかかる姿には、単なる人体の形だけではなく、その人が過ごしてきた時間や、その場に流れる空気、互いの距離までがにじむ。
作者は、そうした日常でふと目にとまる身体の形や姿勢を、墨や鉛筆によるシンプルな線に置き換えてきた。描かれているのは、暮らしの中にある瞬間だ。しかし、余分なものをそぎ落とした線だからこそ、見る側は描かれた人物の姿に自分自身の記憶や体験を重ねることができる。細く、簡潔な線とともに描かない部分を残すことで、見る人の想像を誘う。わずかな情報から、そこにある時間や感情を浮かび上がらせるのが作者の表現の特徴といえる。


作家名のcomic_keema(コミックキーマ)は、本名「まきくみこ」を逆さに読んだ響きをもとにしたもの。1992年に千葉県市原市で生まれ、現在は神戸を拠点に活動している。武蔵野美術大学を卒業後、通販大手「フェリシモ」(神戸市中央区)で企画・編集を経験。現在はイラストレーションやデザイン、ドローイング、出版など、さまざまなジャンルで制作を行う。妊娠や出産、子どもの成長、毎日の中で起きる小さな出来事など、移ろいゆく記憶を「線」として描きとめてきた。
会期中、作家在廊日(21[金]、22[土]、28[金]、29[土]日の各日午前10時~正午、午後2時~5時)にライブドローイングを予定している。個展は9月1日(火)まで。午前10時~午後8時で、最終日は午後4時終了。入場は無料。問い合わせは神戸阪急078-221-4181。






