神戸の新たなランドマークとなっている「ジーライオンアリーナ神戸」(神戸市中央区新港町)。2025年春の開業後、スポーツや音楽など多くのイベントが行われ、近年の関西のアリーナなど会場不足による"関西飛ばし"に風穴をあける存在になってきている。
これまで神戸に来ていなかった客層を新たに掘り起こしているというのは、同アリーナを運営するOne Bright KOBE(OBK)、そしてプロバスケットボールクラブ・神戸ストークスを運営するストークスの代表取締役社長、渋谷順氏。7月末に行われたJR西日本との連携強化に関する共同会見で語った。

「2025年4月に開業し、昨年度の1年は162万人という多くの方々にご来場いただいた。今年度は、4月以降、非常にここまで好調で、おそらく200万人に届くのではないかというイメージで進んでいる。7月は(JR西日本との共同会見を行った)今日1日だけ、唯一この会場が空いている日。その他の日はすべて興行で埋まっている状況。非常に多くの方々に来ていただき、神戸のまちの人の流れが少しずつ変化してきているところもある」
記者会見冒頭、渋谷社長はこのように述べ、ジーライオンアリーナ神戸に関して手ごたえを口にした。
だからこそ、聞いてみたかった。昨今、話題となっている"関西飛ばし"への思いについて。質問を行うと、「"関西飛ばし"はこのアリーナができたことでかなり緩和されたかなと思う」という回答とともに、次のように思いを明かす。
「余談だが、神戸にはワールド記念ホールが以前からあるが、じゃあ、私たちのアリーナができたから、ワールド記念の観客動員が減ったかというと、全然変わっていない。ですから、私たちのところに来ているこの162万人は、全部、追加なんですね。なので、今まで獲得できていなかった人たちが来てくれて、ワールド記念も減ってない。今までちょっと『飛ばされてた』のが、神戸で『ここでもできるよ!』となった。今まで大阪城ホールがもうパンパンで埋まっていて(イベント枠が)取れないので、『関西、もうないね』となっていたのを、ここがなんとか今カバーできている。それが数字にも表れていると思う」
それでも、このたびJR西日本との連携強化を行い、街ぐるみでの活性化を目論む背景には、危機感がある。渋谷社長は次のように語る。
「大阪にもまだいくつか、将来アリーナができる計画があったり、全国にもたくさんある。アリーナ、ないしは、都市が、ある意味では競争していく中では、駅をおりた時からお迎えしているようなホスピタリティとか、街をあげてイベントを呼び込めるような力が必要。来てくれる人が楽しんでくれたら、それだけ観客が増えるので、興行主さんもうれしいわけなので。お互い様の世界観をちゃんと作っていくということが、すごく大事だと思っている。そういう意味では、今回の(JR西日本との)取り組みというのは非常に意味がある」

回遊性を高め、交流人口を増やすことは地域にとって重要だが、同時に民間企業にとっても経済的な価値を生む。「経済的な価値と社会的な価値の両立をしっかり目指していくことが、持続可能性という意味合いでは非常に重要だと思っている」と、渋谷社長。アリーナは50年単位で運営していく建物だからこそ、目先の数字だけでなく、長い時間軸で街との関係を考えているようだ。
●ユニフォームが、街に染み出すまで
昨シーズンのB2リーグ(B2)で優勝した神戸ストークス。今シーズンからトップカテゴリー・Bプレミアに参戦するが、そのクラブの現状について、渋谷社長は率直な思いを明かす。Jリーグのヴィッセル神戸と比べると、ユニフォーム姿を街で見かける機会はまだまだ少ない、と自ら認める。
「うちの社内では、『今日、試合後、居酒屋にうちのユニフォームの人がいっぱいいたよ』とかが結構話題になる。そのくらい街の中で市民権を得て、充実したファンダム(熱狂)をつくりあげたい」
参考にしているのが、音楽アーティスト・ゆずが横浜でライブをした際のエピソードだ。街中に「隠れアイコン」を仕掛けたところ、ファンが自発的に探し回って盛り上がったという。「街の中までを含めて、ファンの皆さまが、推し活ブームもあり、感じて楽しんでいただくモデルをつくりたい」。
長く神戸のまちに関わり続けたい、という思いは一貫している。「神戸の街の中に意味を持たせていき、みんなが『神戸の街づくり、良くなったよね』と、神戸の街をシビックプライドというか、誇れる形になっていく。1年や2年で簡単にできるものじゃないですけれども、しっかり継続していくことが大事」。
ジーライオンアリーナ神戸、そして、神戸ストークスが、神戸の街とともに輝くべく、これからどんな姿を見せていくのか。渋谷社長の手腕とともに目が離せない。






