約700年の歴史を持つ日本の伝統芸能「能楽」。しかしながら、「難しそう」「何を見ればいいのか分からない」と感じている人は少なくないのではないでしょうか? こうした能のイメージを払拭するべく日々取り組みを行う、観世流シテ方の能楽師・上田宜照(よしてる)さんに話を聞きました。

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「能は遺産ではなく資産である」と上田さん。資産とは活用することでさらに価値を高めていくものだと語ります。そのためには、多くの人に発信し魅力を感じてもらう努力を続けることが大切だそう。
その一つが「難しい」というイメージを変える工夫だとか。上田さんは「ネタバレしてから見る」という楽しみ方を勧めています。映画やドラマでは避けられがちなネタバレですが、能ではむしろ作品を深く味わうための入り口になるといいます。
「あらかじめ結末を知っておくことで、役者の表現や謡(うたい)・能面・装束など細かな魅力に目を向けることができます」(上田さん)

楽しみ方は人それぞれ。演者の所作を追いかける人もいれば、数百年前から受け継がれる能面や豪華な装束に魅了される人もいます。ストーリーを楽しむ人もいれば、舞台全体が生み出す独特の空気感に惹かれる人もいるそうです。「700年間続いてきたからこそ、700年分の楽しみ方があります」。そう話す上田さんは、公演前のトークや体験会など、初心者が親しみやすい取り組みにも力を入れています。
9月に開催される「ひめじアートシーズン」の一環として行われる、解説を交えながら能を鑑賞できる公演「Re:能」にも出演予定とのこと。舞台の進行に合わせて見どころを紹介することで、初めて鑑賞する人でも内容を理解しやすい構成にしているとか。
海外公演の経験も豊富な上田さんは、「国外では能に強い関心を持ち理解しようとしてくださる方が多い。日本でも『難しい』と構えず、一人でも多くの人に気軽に触れてほしい」と思いを述べます。伝統芸能というと敷居が高く感じがちですが、少し予習をして舞台を見たり美しい装束や能面に注目したりするだけでも、新しい発見があるかもしれません。

(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「ヒメトピ558」2026年8月14日、21日放送分より


