小柄な体が宙高く舞った。20日のIKOMA FC奈良(生駒)戦後に行われた、FC BASARA HYOGO(バサラ兵庫)の優勝を祝う会。優勝記念Tシャツを着た選手、スタッフらはアウェイの鞄工房山本アスレチックフィールド橿原(橿原公苑陸上競技場、奈良県橿原市)まで駆け付けたファン、サポーターらと記念写真に納まった後、チームを頂点に導いた木村暁監督を担ぎだした。
「あんなに高く飛ぶとは思わなかったですね。やっぱりあれは、日々の筋トレの成果でしょう。気持ち良かったです」。人生初めての胴上げを味わった28歳の若き指導者は、そう言って破顔した。
8チームで争う関西サッカーリーグ(2026/27 第61回 The KSLアストエンジ関西リーグ)1部の14試合を9勝4分け1敗で制した。2位のアルテリーヴォ和歌山とは勝点4差。力強く勝点を積み上げたように見えるが、一直線に頂点にたどりついたわけではない。
2試合引き分けが続いた後の第5節、5月30日のアルテリーヴォ和歌山とのアウェイ戦を1-2で落とした。「これで3試合、勝利がないという状況になった試合でした。ある意味、1つのターニングポイントだったと思います」と振り返る。
強調したのは「『自分たちはもっとできる』と自覚させる」こと。「うまくいかないときはエネルギーが必要だと思うので、試合に向かっていくモチベーションやパワーを与えるようにしました。しっかりと次の試合に盛り返したのは、チームの底力みたいなものを見ましたし、波があるリーグの中でも、うまくいかなかった次の試合では、選手たちがより一層気合を入れて戦ってくれたと思います」と述懐する。
実際、その後は7勝2分け。難しい試合でも、着実に勝ち点を積み上げていった。
指揮官はモチベーターであると同時に、英国ウェールズでサッカーキャリアを重ねてきた異例の経歴の持ち主でもある。
今春に話を聞いた際には「当然、(日本とウェールズは)文化や歴史も違うので、全部が全部、ウェールズのものをここでやってみるということではないと思います。ただ、向こうのいいもの、例えば球際の強さや切り替えの速さみたいなところは、このチームでも取り入れたいと思っています」と話していた。言葉通り、激しく戦うスタイルを選手に植え付けて、勝利へのこだわりを徹底した。
年上の選手も多いが、「特に変わることなく、普通にリスペクトを持って接する、というだけですね。別に年齢とかあまり気にせずに、イチ選手として、ひとりの人として普通に会話するように話しています。サッカー人である前に、人としてどうなのかというのは常に選手たちに求めてきましたし、人としてのモラル、マナーや、振る舞いとかは、チームの活動をする上で意識してほしいというのは常々、言ってきたことなので、それが多分、この一体感を生み出していると思います」と話す。
28歳で達成した関西リーグ優勝の成果についても「これは完全に僕だけの力ではなく、スタッフがみんな力を合わせてこのチームのために、このクラブのためにとの思いでやった結果です」と謙遜する。
その上で、こう宣言した。
「ここは一つの通過点。僕らが目標にしているのは日本フットボールリーグ(JFL)昇格というところ。まだ成し遂げていないので、そこに向かって日ごろから、一生懸命頑張っていきます。JFLに上がって、また胴上げを味わえるように頑張っていきたいです」
(取材・文=北川信行)
■木村暁(きむら・ぎょう) 1998年6月8日生まれ、神奈川県出身。2020年に英サウスウェールズ大学フットボールコーチング学部入学。ウェールズ代表U-14の分析官やウェールズ1部リーグのチームの育成年代の指導者などを歴任。UEFA Aライセンスを保持。2025年10月にバサラ兵庫のヘッドコーチに就き、2026年から監督。





