職人としての大工の姿を紹介 神戸・竹中大工道具館で「大工さん展」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

職人としての大工の姿を紹介 神戸・竹中大工道具館で「大工さん展」

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 江戸時代から明治・大正にかけての職人としての大工の姿を紹介する特別展「大工さん展~近世の職人とその伝統~」が、神戸市中央区の竹中大工道具館で開かれている。

大工さん展
(写真:ラジオ関西)

 大工はもともと政府の高級官僚だった。時代を経て役人ではなくなったが、人気の職業で、歌舞伎や浮世絵にもその姿が描かれている。そんな大工を人々は親しみを込めて「大工さん」と呼んでいた。

 特別展では、大工のユニフォームともいえる「印はんてん(法被)、腹掛、股引」や、寺子屋で使われた教科書などが展示されているほか、江戸時代の職人たちが住んでいた九尺二間(くしゃくにけん)の長屋が実物大の大きさで再現されていて、当時の姿に触れることができる。また、大工を題材にした落語もアニメーションで紹介され、江戸時代の大工の暮らしを面白おかしく伝えている。

教科書
寺子屋で使われた教科書(写真:ラジオ関西)

「印はんてん・腹掛・股引」の3点セットは、江戸時代後期から昭和の初めにかけての大工のユニフォーム。それまでは、動きやすい着物(狩衣)で作業をしており、当時の様子を描いた絵からもその姿を見ることができる。

 また、大工用語も日常生活に浸透している。例えば、「お仕着せ」という言葉。一方的に押し付けられた時に使うが、元々は、施主が作業に当たる大工たちにオリジナルの印はんてんを着せたことを指す言葉だった。昭和になって機械化が進むにつれて、機械に巻き込まれやすい印はんてんから、現在の作業着に変わったが、その文化は、現代も、地域の祭りで受け継がれている。

「幣串(へいぐし)」
「おかめ」の面が上部につけられた柱、「幣串(へいぐし)」(写真:ラジオ関西)

 そして会場の一角には「おかめ」の面が上部につけられた柱、「幣串(へいぐし)」がある。上棟式であげる祝いの柱で、「おかめ」が取り付けられるのは関西だけ。これは、大工の主人の失敗をその妻が救ったものの、上棟式を前に妻が命を絶ったことから行われるようになったそうで、そのエピソードは落語の中でも紹介されている。

 さらに、地下の常設展示室では、さまざまな大工道具が展示されており、実際にどのようなものを作っているのか知ることができるほか、奈良・唐招提寺の柱も再現されていて、宮大工の技を間近で味わえる。

「大工さん展~近世の職人文化とその伝統~」は、3月1日(日)まで、神戸市中央区の竹中大工道具館で開催。月曜日休館。入場料大人500円、大高生300円、中学生以下無料。

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