娘に会えぬ妻の死に「出会って70年、言葉が出ぇへん…」拉致被害者・有本恵子さん父親・明弘さん、涙ぬぐう | ラジトピ ラジオ関西トピックス

娘に会えぬ妻の死に「出会って70年、言葉が出ぇへん…」拉致被害者・有本恵子さん父親・明弘さん、涙ぬぐう

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有本明弘さん
涙をぬぐう夫・有本明弘さん(神戸市内で 写真・ラジオ関西)

 北朝鮮によって1983(昭和58)年、 当時23歳で拉致された神戸市長田区の有本恵子さんの母親、嘉代子さんが、2月3日、鬱血性心不全のため死去した。94歳。夫で恵子さんの父親・明弘さんは神戸市内で会見し「出会って70年。いまは言葉が出ぇへん」と涙をぬぐった。

 2002(平成14)年の日朝首脳会談以降、政府が認定した拉致被害者の父母で健在なのは、嘉代子さんの夫・明弘さん(91)、横田めぐみさん(失踪当時13歳)の父・滋さん(87)と母・早紀江さん(84)の3人。子どもとの再会を果たせないまま他界したのは嘉代子さんが7人目。残された家族らは「北朝鮮に拉致された恵子を取り戻すために、父母は二人三脚で頑張ってきましたが、母は力尽きてしまい、今は全く気持ちの整理もつかない状態です」とコメントした。

有本恵子さん遺族
有本嘉代子さん遺族らが会見(神戸市内で 写真・ラジオ関西)

 1983年に留学先のロンドンで拉致された恵子さんを救う活動は、両親がこれまで30年続けてきたが、父親の明弘さんは91歳、嘉代子さんは94歳。嘉代子さんは約5年前から体調を崩し入退院を繰り返していた。今年の正月は神戸市長田区の自宅で家族とおせちを食べ会話もしていたが、座る際に骨折し、神戸市内の病院に入院していた。

 嘉代子さんの訃報に井戸敏三・兵庫県知事は「恵子さんが拉致されてから36年。嘉代子さんの無念を胸に、今後も拉致問題の一日も早い解決に向けて、兵庫県も救出活動を続け、恵子さんをはじめ拉致被害者の方々の帰国を目指します」とコメントした。

 また、久元喜造・神戸市長は「恵子さんとの再会がかなわなかったなかでのご逝去に、ご遺族の皆様のご無念のお気持ちはいかばかりかとお察し申し上げます。一日も早い拉致問題の解決を願うとともに、心より哀悼の意を表します」と話した。

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