「パリ、フランスへの憧れ」日本人画家を魅了する芸術の都 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「パリ、フランスへの憧れ」日本人画家を魅了する芸術の都

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 文化や芸術の中心地であるフランス。近代以降、数々の日本人画家を魅了してきたアートの聖地で、彼らが見たものとは。小磯良平など、神戸にゆかりのある画家たち10数名が描いた作品展「パリ、フランスへの憧れ」が9月22日(火・祝)まで開催されている。

 美術館にその名を冠する小磯良平は、明治36(1903)年に生まれ、昭和63(1988)年に生涯を閉じた神戸市出身の画家。幼い頃から絵を描くことが好きで、自然と洋画家を目指すようになった小磯氏は、中学校時代に岡山の倉敷で「現代フランス名画家作品展」に出会ってフランスへの憧れを抱くように。その後、大正11年に東京美術学校(現・東京藝術大学)の西洋画科に入学し、大正14年には「帝国美術院美術展覧会」で入選。翌年に「T嬢の像」が特選に輝くなど、当時23歳という若さで、才能を開花させ、画家デビューを果たした。

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 西洋美術の研究に熱心だった小磯氏が、最初にフランスを訪れたのは昭和3年から5年まで。東京美術学校を首席で卒業した翌年のことだった。中学校時代からの旧友で、後に詩人として活躍する竹中郁とともにに滞在し、神戸の画家、角野判次郎や今井朝路ら数名と交流。当時のことを小磯氏は「なかなか熱心だった」と振り返る通り、ルーヴルなどの美術館を巡り、オペラやバレエなどの鑑賞を通して西洋の芸術文化や伝統に肌で触れた。

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 小磯氏が二度目にフランスへ渡ったのは昭和35年の夏。30年ぶりの渡仏で南フランスやイタリアにも足を運んで、主にデッサンを学ぶなど、やはり西洋絵画の研究に意欲的だった。この時期の旅行については滞在期間が短く同行者がいなかったため、小磯氏が具体的に何を見て何を学んでいたかは明らかでなかったが、最近になって、フランスから日本に送っていた絵葉書の存在が判明。当時の足跡をたどる貴重な資料として今回の「パリ、フランスへの憧れ」で初公開されている。

 展示作品は、小磯氏の作品「オーヴェル風景」をはじめ、中西利雄「フランス風景」や角野判次郎「踊り子C」、林重義「モンマルトル」、三木朋太郎「カーニュ風景」などが並ぶ。

 また、同時開催中の「終戦75年 従軍画家・小磯良平が見たもの」では、日中戦争・太平洋戦争期に計4回、従軍画家として戦争画を描いた小磯氏の作品を展示。正確で細やかに描かれた作品を通じて、激動の時代を振り返ることができるだろう。なかでも、銃を抱える若き日本兵をデッサンした「兵士D」は、今回が初公開。他に、戦時中に発行されていた、女性向け雑誌「新女苑」の表紙「翼」を展示。親しみのある女性像を得意とする、小磯氏らしい柔らかな線と色づかいを鑑賞することができる。

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■神戸市立小磯記念美術館「パリ、フランスへの憧れ」
開催期間 ~2020年9月22日(火・祝)
休館日 月曜日(9月21日は開館)
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
所在地 神戸市東灘区向洋町中5-7(六甲アイランド内)
アクセス 六甲ライナー「アイランド北口(小磯記念美術館前)駅」下車すぐ
入館料 大人200円、大学生100円、高校生以下および神戸市内の65歳以上無料(※要証明書)


■神戸市立小磯記念美術館
■「パリ、フランスへの憧れ」

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