2020年10月の夜空は1日「中秋の名月」でスタートする。
今年は火星にも注目したい。10月6日、地球との距離が縮まる。夜空で輝く赤い星の観測のチャンスを迎えている。
太陽系の惑星は、それぞれの周期で太陽の周りを公転しており、その位置関係はいつも変化している。
地球は太陽の周りを365日かけて1周する。一方、火星は687日かけて公転する。このことから地球はおよそ780日=およそ2年2か月ごとに火星に追いつき、追い越す。このとき火星との距離が近くなる。
最も近づくのが、今年10月6日午後11時18分、およそ6207万キロとなる。前回2018年の最接近の際には、地球と火星の距離はおよそ5759万キロと「大接近」となった。今回はその距離には及ばないものの、火星はマイナス2.6等の明るさで輝く。9月上旬から11月初めまでマイナス2等以上の明るさとなるため、観測しやすい時期が続く。最接近の頃よりも、最接近を過ぎたころの方が、火星が昇ってくる時間が早くなり、宵の空で観察しやすくなる。観察しやすいとはいえ、その見える大きさは満月の80分の1程度。肉眼では火星が丸いなどはわからない。望遠鏡を使うと、表面の模様を観測することができるという。
その火星はどのあたりにあるのか。明石市立天文科学館によると10月6日には太陽が沈んだ後、午後7時くらいから東の空から昇ってくる。少し赤っぽく見える明るい星が火星とのこと。
火星最接近の次のチャンスは2022年12月1日。今回よりも遠い8145万キロとなる。目で見える大きさは今回よりも小さく月の100分の1以下。明るさもマイナス1.8等となる。
10月は火星だけでない。1日は中秋の名月。そして2日に満月となる。中秋の名月は、旧暦8月の十五夜の月のことで、9月9日ごろから10月7日ごろの間とされる。望遠鏡なしで見ることが多いが、いざ望遠鏡で見ようとすると、陰影のないのっぺりした月のどこを見ていいのかわからないこともあるという。クレーターを探してみるのもいいかも。月の南部にあるのが大きなクレーター「ティコ」は、直径85キロあるとされ、およそ1億年前に西側から小惑星がぶつかってできたといわれる。その周りには光条=光の筋が見られ、双眼鏡でも観測できることがあるそうだ。