サッカー・J1のヴィッセル神戸応援番組『GOGO!ヴィッセル神戸』(ラジオ関西、パーソナリティー:宮川陽香)11月23日の放送では、25日のACL(AFCチャンピオンズリーグ)でヴィッセルが対戦する相手、広州恒大(中国)について、サッカージャーナリストの河治良幸さんに、試合のポイントを聞いた。
Jリーグから日本代表、そして海外リーグと幅広く取材を行っているサッカージャーナリストの河治さんは、ヴィッセルが対戦する広州恒大について「豊富な資金力が話題になりがちだが、ACLを2度(2013年、2015年)制しており、アジアを代表するメガクラブ」と評する。
「外国籍選手だけでなく非常に中国人選手のレベルも高い。ヴィッセルがMFアンドレス・イニエスタ選手やDFトーマス・フェルマーレン選手と一緒にやっていると周りの日本人選手も伸びているように、広州恒大においても同じことが言える」(河治さん)
ただし、そんな広州恒大の一番のストロングポイントは、外国籍選手であることには変わりない。大きくてスピードのあるMFアンデルソン・タリスカ選手や、イニエスタ選手のバルセロナ時代の元チームメイトでもあるMFパウリーニョ選手など、世界の舞台でも実績抜群のスタープレーヤーを擁するだけでなく、FWエウケソン選手、DFブラウニング選手など、中国に帰化して活躍中の選手もその実力はずば抜けている。今回、チームの中心であるパウリーニョ選手がケガで欠場となったものの、2015年ACL優勝時の得点王・MVPを獲得したFWリカルド・グラル選手をレンタル先から呼び戻すなど、戦力の分厚さは屈指。「アジア随一のメガクラブ」と呼ばれるのも理解できる。
それでも、ヴィッセルにはチャンスもあると、河治さんは話す。鍵となるのは、プレースピード。中国スーパーリーグ(CSL)は、Jリーグよりプレースピードが少し落ちるので、前からのプレスなどがうまくはまるとショートカウンターに持ち込めるシーンは作れるのではないかとコメント。今季、ヴィッセルの多くのゴールは、カウンターからFW古橋亨梧選手やFW藤本憲明選手が仕留めるシーンが多く、その形は、広州恒大にとっても脅威になるのではと分析する。
また、番組があげたこの試合のキープレーヤー、MF山口蛍選手については、「中盤の形をどうしていくかで、山口選手の役割は変わるが、基本的にボールを奪って攻撃の起点になる選手であり、守備でも前線からのプレッシングをサポートしながらも自分もそこで奪いに行くというところが特長。同時に相手の前線の選手にいい形でボールを持たせない役割という、ハイスペックなことが求められるが、勝利するためには、そういった(マルチロールな)活躍を山口選手に求めたい」と、神戸の心臓に大きな期待を寄せた。2011年、14年、18年と3度、ACLを経験し、そのうち14年と18年には実際に広州恒大との試合も経験している山口選手。背番号5の存在が、クリムゾンレッドには実に頼もしい。
さらに河治さんは、ルーキーFW小田裕太郎選手や、闘志あふれるDF菊池流帆選手といった、今季リーグ戦でも奮闘が目立った若手選手たちにも注目していた。
カタールでの集中開催によって、広州恒大戦の会場となるハリファインターナショナルスタジアムのピッチが早速荒れているなど、なかなか国内では経験することができないような条件のもとでの試合となる、今回のACL。マレーシアのジョホール・ダルル・タクジムがコロナ禍におけるカタールへの渡航許可が出ずに棄権となったため、2月のMD1(ヴィッセルが5-1で勝利)が無効試合となってしまうのは、ヴィッセルにとってはつらいところ。改めて仕切り直しの感があるACLグループGだが、アジア王者を目指すべく、まずはグループ突破に向けて、ヴィッセルとしてはまずこの一戦で勝利を挙げたい。
キックオフは日本時間の25日午後7時。