2010年10月、神戸市北区の路上で起きた当時高校2年・堤将太さん(当時16)が殺害された事件や、2000年の大みそかに東京都世田谷区の宮沢みきおさん(当時44)一家4人が殺害されているのが見つかった事件など未解決の5つの事件について、警察庁は7日、犯人検挙につながる重要情報の提供者に支払う公的懸賞金(捜査特別報奨金)の受付期間を来年・2021年12月6日まで1年間延長する。
公的懸賞金は社会的反響が大きい事件が対象で、上限は原則300万円。世田谷での事件は13回目の延長。地元の民間団体も1700万円の私的懸賞金を設け、国内の未解決事件の懸賞金では最高額の計2000万円になっている。神戸市北区の事件は9年目となり(更新は8回目)、4年ぶりに年間の情報提供件数が100件を超え(2019年12月7日~2020年11月30日 104件)、世間の関心の高さをうかがわせる。
7日付で延長されるのは、このほか2007年に起きた京都市左京区の男子大学生(当時20)殺害、2008年発生の愛知県豊田市の女子高校生(当時15)強盗殺人、2010年に起きた石川県加賀市のコンビニエンスストア店長(当時68)強盗殺人の3事件。
《未解決事件に対する公的懸賞金「捜査特別報奨金」制度》
未解決事件の情報を広く受けるために、国内で最初に懸賞金をかけて情報を求めたのは1989年11月4日発生の坂本堤弁護士一家殺害事件。この時は全国の弁護士の有志が支援団体を結成し、総額2000万円で情報提供を呼びかけた。これまでにも遺族や支援団体が賄う私的懸賞金は存在した。
公的懸賞金としての「捜査特別報奨金」制度は2007年に警察庁が創設した。事件解決に結びつく有力な情報の提供者に、検挙への度合いに応じて原則300万円を上限に報奨金を支払う。情報提供者が複数いる場合は、上限額の範囲内で貢献度に応じて分割される。ただし、情報を犯罪行為を通じて得た場合などは支払われず、情報提供者が匿名・警察関係者・容疑者本人や共犯者などの場合も対象外となる。