サッカー・J1のヴィッセル神戸は、6月30日に行われた明治安田生命J1リーグ戦第17節で、名古屋グランパスとの激しい打ち合いを5-3と制した。これで最近5試合では3勝2分け負けなしの神戸は勝点を21として、前半戦を11位で終了。首位・FC東京(勝点36)との勝点差は15と離れているが、一時期、7連敗というどん底の状態を味わい、2度の監督交代という苦難の道をたどったことを考えれば、底を脱し、徐々に立て直して反撃体制を整えつつあるともいえるだろう。
7月1日のラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』では、ウイークリーマッチレポートとして、名古屋戦を振り返った。この一戦でもキーマンとなったのは、やはり、チームの大黒柱である、アンドレス・イニエスタとダビド・ビジャ。ふたりのスーパースターの活躍に、サポーターは酔いしれた。
スペインに一時帰国していたこともあり前節を欠場していたイニエスタだが、2試合ぶりに先発復帰すると、63分には左DF初瀬亮のクロスボールがこぼれたところを、相手DFとGKを見ながら技ありミドルシュートを決め切り、誕生した第4子に捧げるゴールを記録。チームメイトとともにゆりかごパフォーマンスも披露した。さらに、自らのパスを契機に得たPKも落ち着いて決めて、J1では初の1試合2得点を達成。一方のビジャも、27分の先制点では、相手DFとの絶妙な駆け引き、細やかなボールタッチとステップ、巧みな右足でのシュートで、まさに「ストライカーを目指す子供たちにぜひ見ていただきたい」圧巻のゴールを示せば、80分に自ら得たPKで勝ち越し点を奪い、こちらも2得点。彼らの存在の大きさを改めて実感させられた。
さらに、この試合でピックアップしたいのは、中盤に入った活躍著しい2選手。そのふたりのコメントを番組では放送した。ひとりは、6試合ぶりに出場した郷家友太。U-20日本代表としてFIFA U-20ワールドカップポーランド2019に出場していたゲームメーカーは、帰国後初のリーグ戦でチーム最長となる11.654kmの走行距離をマークするなど攻守に奮闘。イニエスタの2点目となったPKを得るなど得点機にも絡んだ。「(PK獲得のシーンは)最初、外で受けようとしたが、相手とかぶってしまった。でも、アンドレスなら中に出せると思って中に入った結果、本当はシュートを狙っていたが(倒された)。あそこで中に入ってPKをもらえて本当によかった」。PK獲得シーンでのガッツポーズは、彼がこの試合にかけていた強い思いを表したかのよう。今後もチームに不可欠な存在のひとりになるだろう。
そして、もうひとりは、小川慶治朗。この試合ではベンチのスタートで、58分から途中出場したが、終盤の87分、西大伍のパスからワンタッチで相手DFをかわしてドリブルで突き進むと、ゴール右上に強烈なシュートを突き刺した。その瞬間、この試合で一番の大歓声が巻き起こった。サポーターに愛されているクリムゾンレッド生え抜きアタッカーは、約2シーズンぶりとなるJ1での待望の得点に、感慨もひとしお。「試合後、よく決めたなと(チームメイトから言われた)。あのシチュエーション、あの点差で決めたらチームとして助かるのは自分もわかっていた。全体でも苦しい時間を過ごしていたが、あの時間に決めることができて、ゲームを完結し、勝利を決定づけることができた。ドクターなど昔からの付き合いがある人は僕が点をとってすごく喜んでくれて、その喜んでいる姿を見て僕もうれしかった」。この試合では、30分少しの出場ながらチーム3位タイの17回のスプリントも記録した、スプリントキング。いよいよ結果も出た港町の13番には、今後も一層の活躍を望まずにはいられない。
ミッドウィークの天皇杯2回戦(7月4日 vsギラヴァンツ北九州)を挟んで、後半戦に入るJ1では次節からアウェイ2連戦の神戸。上位進出のためにも、今後も負けられない戦いが続くが、「たくさんのサポーターの方とまた喜びをわかちあえるように、継続して頑張っていきたい」と郷家。活きのいい攻撃陣とともに、この夏を乗り切っていきたい。
J1・神戸 イニエスタとビジャの偉大さ、小川や郷家らの活躍が光った名古屋戦
2019/07/02