劇作家・演出家で赤穂市政特別アドバイザーを務める平田オリザ氏と、赤穂市にゆかりのある平田家の人々の足跡をたどる特別展、「平田オリザと時代を駆け抜けた平田家の人々」が、赤穂市立美術工芸館・田淵記念館で開かれている。2021年3月15日まで。
平田家は、江戸期赤穂藩森家の時代に龍野から移ってきた薬種商で、赤穂市加里屋にある名所「息継ぎ井戸」の西にあった。オリザ氏の曽祖父が4代目に当たる。曽祖父・寛治さんは家業の傍ら、詩歌、茶道、書などを好んだ他、1888(明治21)年に開業した赤穂銀行の頭取も務めた。
祖父の内蔵吉(くらきち)さんは、医学者・民間療法家で、多くの著作を残した。東洋医学伝統の鍼(針)と灸の効用を兼ね、さらに皮膚を傷つけない治療器を創作するなど、「現在の鍼灸学の基礎を築いた」という。
内蔵吉さんの弟でオリザ氏の大叔父にあたる晋策(しんさく)さんは、軍事評論家・軍事小説家として活躍。晋策の従兄弟の子にあたる寛(ゆたか)さんは日本科学史学会の会長を務めるなど日本科学史の権威とされる。
オリザ氏の父親の穂生(さきお)さんはシナリオライターとして活躍し、映画「時をかける少女」の挿入歌「愛のためいき」の作詞家としても知られる。そしてオリザ氏は劇作家・演出家として国内外で活躍するとともに、2021年春に開学する「芸術文化観光専門職大学」(豊岡市)の学長に就任する予定だ。
平田家の人々は、文化、科学の分野で大きな功績を残しており、会場にはその足跡をたどる著書や資料およそ80点が並ぶ。薬種商の看板や、内蔵吉さんが「子供の頃に書いた書」や手紙、晋策さんの「成績表」のほか、オリザ氏の著書や活動の様子を写したパネルも展示されている。
赤穂市立美術工芸館・田淵記念館の味呑英和学芸員は「貴重な資料も多い。赤穂ゆかりの平田家の人々が残した文化、科学の多大な功績を感じてほしい」と話す。
※入館に際しては、事前に検温などの体調チェックを行い、発熱がある場合や風邪の症状など体調不安がみられる場合には、施設への来場をお控えください。マスク着用、3密回避対策をはじめ、「赤穂市立美術工芸館・田淵記念館」の新型コロナウイルス感染防止策をホームページで必ず確認いただき、感染予防にご留意ください。
【イベントは終了しました】
特別展「平田オリザと時代を駆け抜けた平田家の人々」
会場 赤穂市立美術工芸館・田淵記念館(赤穂市御崎314-10)
会期 2021年1月24日(日)~3月15日(月)
休館日 火曜日(祝日の場合はその翌日)