女子中学生レーサー、Juju(ジュジュ)こと野田樹潤さん(15)の、2021年の米国での戦いがいよいよ3月26日に始まる。「F4 UNITED STATES CHAMPIONSHIP」(F4 US)。2020年のポイントランキングで3位の「ジェイ・ハワード・ドライバー・ディべロップメント」のチームの一員として、11月5日までのシーズンを戦い抜く。すでに行われたプレシーズンテストでトップタイムを記録するなど、ずば抜けた適応力は顕在。早くも厳しいマークの視線が向けられている。
米国での開幕戦の舞台は、ジョージア州のミシュランレースウェイ・ロードアトランタ。すでに公式スケジュールは始まっており、3月6日と7日はルーキー・スクール、続く8日と9日は公式のプレシーズンテストが行われた。
Jujuにとっては、この時が全てのチームとドライバーとの初顔合わせだった。今年の「F4 US」参戦は、孤軍奮闘だった昨年のデンマークと異なり、野田レーシングとジェイ・ハワード・ドライバー・ディべロップメントがタッグを組む形をとり、Jujuはチーム・ドライバー4人のうちの1人となる。
チームは、かつてインディーカーで活躍し、2006年のインディプロシリーズでチャンピオンになったジェイ・ハワード氏が立ち上げ、2020年のチームのポイントランキングは3位という成績を収めている。それだけに、Jujuサイドとしては、マシンのセッティングやコース攻略などで、ノウハウを共有できるのではとの期待もあった。
ところが、チームメイトの1人は新人だったり、実績のあるドライバーも、マシンのセッティングに対する好みが全く違うことがわかり、これまで同様、野田監督とメカニックとの対話を通じてセッティングを積み上げていくことになった。
その調整が「ハマった」のか、テスト最終日には、Jujuがトップタイムを記録。ベストラップだけでなく、平均でも上位につけ、一気に存在感が高まった。日本からやってきた少女ドライバーの走りは、昨年のデンマーク同様、早くも地元のドライバーの闘争心に火をつけた格好だ。
デンマークでは、初めてのことばかりに対応せざるを得ず、「メンタルはかなり強くなった」とJuju。米国でもシーズン開幕まで1か月というタイミングで、レースが開催されるサーキットでの練習走行を禁止する、という規制が発表された。アメリカのコースをほとんど体験したことのないJujuにとっては、すべてのレースがぶっつけ本番となる。
しかし、今回のテスト走行で自分の立ち位置が確認できたことの意味は大きく、Jujuは昨シーズンの優勝チームと、それまで3年連続でタイトルを取っているチームに照準を合わせながら、「走るからには勝ちに行きます」と強気の発言。「今シーズンに向けての自信は7割。マシンのセッティングはまだまだこれからだから、シーズンが進み、経験を積めば残り3割の自信もつくかも。昨年のようなプレッシャーはありません」と静かに闘志を燃やしている。