彫刻やインスタレーションなどで表現 「植松奎二 みえないものへ、触れる方法 - 直観」 芦屋市立美術博物館で開催中 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

彫刻やインスタレーションなどで表現 「植松奎二 みえないものへ、触れる方法 - 直観」 芦屋市立美術博物館で開催中

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 重力や引力など、日常に存在するのに目に見えないものに思いを巡らし表現する彫刻家・植松奎二の作品展が、兵庫県芦屋市の芦屋市立美術博物館で開かれている。2021年5月9日(日)まで。

 神戸市生まれの植松は、彫刻やインスタレーション、写真など多岐にわたる活動を通して、重力や引力といった見えない力の法則から、世界の構造、存在、関係をよりあらわにしてきた。今回「みえないものへ、触れる方法 – 直観」と題し、「芦屋市立美術博物館」ならではの空間を通して、ここでしか生み出せない作品を集めた。

 高さ14メートルの吹き抜けとなっているエントランスホールでまず目に入るのは《摩擦の間―宇宙からの贈りもの》(2021年)。落下せずに中空に止まった石と、ブロンズの球体の間に隕石が挟まっている。このバランスでなければ作品は崩れるといい、地球の重力と引力の関係性が現れている。ブロンズの球体の中にはニュートリノをとらえるスーパーカミオカンデ(世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置)と同じく水が入っており、「ニュートリノをとらえているかもしれない」という夢も込められている。

《摩擦のあいだー宇宙からの贈りもの》(手前)《Triangle - Stone / Cloth》(奥)
《摩擦のあいだー宇宙からの贈りもの》(手前)《Triangle - Stone / Cloth》(奥)

 またエントランスホールには布を使った作品《Triangle-Stone/ Cloth》(2021年)が展示されている。植松は1973年に同様の作品を作っており、リニューアルした。「布に切れ目を入れて石を挟んで止め、石の重さで垂れ下がった布に三角形を作った」もので、今回はカーブのある壁面に展示されているため、いろいろな線が現れ「重力の構造が見えているようだ」という。

 連結した8本の角材を吊り下げるなどした《見えない力―軸・経度・緯度》(2021年)は、展示室の34メートルの奥行を生かしており、植松にとって過去最大のインスタレーション作品となった。4メートルから6メートルの角材8本を金具で連結し、手前から展示室の奥に進むにしたがって角材の厚さ10センチずつ高くなっていく。それらは天井から吊るされるなどし、角材の上には水の入ったグラスも置かれている。大槻晃実学芸員は「一つひとつの力の均衡が美しさを生み出し、その力のバランスで成立している美」と分析する。

《見えない力 -軸・経度・緯度》
《見えない力 -軸・経度・緯度》

 このほか、写真や絵葉書に「無重力の石」を描き加えた作品や、200メートルもの銅線を使った《空間に描いたdrawing》(2021年)など、「見えないものを感じられる」作品が並ぶ。

《空間に描かれたdrawing》
《空間に描かれたdrawing》

 今回、植松は1年をかけて芦屋市立美術博物館の空間と構造を読み解き、ここでしか生み出せない作品を生み出した。大槻学芸員は「見えないものを難しく考えるのではなく、まずはこんなものもあるんだと感じてもらえれば」と話す。


「植松奎二 みえないものへ、触れる方法 - 直観 Ways of Touching the Invisible – Intuition」
会期 2021年3月13日(土)~5月9日(日)
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場 芦屋市立美術博物館(第1・第2展示室、エントランスホール)
休館日 月曜(5月3日は開館、5月6日は休館)
観覧料 一般700円、大高生500円、中学生以下無料
※同時開催「芦屋の歴史と文化財」展の観覧料も含む 
※高齢者(65歳以上)および身体障がい者手帳・精神障がい者保健福祉手帳・療育手帳を持参者ならびにその介護者は各当日料金の半額。
【公式HP】

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