「大陸からやってくる雲が黄色く見えた」 春の難敵“黄砂”がおよぼす影響と傾向は? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「大陸からやってくる雲が黄色く見えた」 春の難敵“黄砂”がおよぼす影響と傾向は?

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 お天気キャスターとして活躍する気象予報士・防災士の正木明さんは、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、この春に多く飛来する「黄砂」について解説するとともに、現在の傾向を語った。

 中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの乾燥・半乾燥地で、風によって巻き上げられ、偏西風に乗って日本に飛来。大気中に浮遊したり、ときには降下してくる、黄砂。年間500万トンという砂が巻き上げられ、細かい砂の粒子が各地に飛来し、そのうちの約200万トンが日本に降ってくるといわれている。主に3月から5月にかけて日本にやってくると、洗濯物や車が汚れるなどの環境被害だけでなく、健康被害も引き起こす、やっかいな存在だ。

 天気予報を専門にする正木さんは気象衛星「ひまわり」で雲の画像を参考にする際、普段白く映る雲が、4月はじめの画像をみると、「大陸からやってくる雲が黄色く見えた」という。黄砂が際立つ今年は、中国・北京でも大きな環境汚染の影響が出ていることも、よく報じられている。気象庁の黄砂観測日数表によると、今年は3月の段階ですでに9回、黄砂を観測(昨年は5回)。12回を数えた2015年以来の二桁は確実だ。

 ただし、「ここ数年、黄砂を観測する日は、ゆっくり減少傾向にある」と、正木さん。その原因は、日本付近の春夏秋冬、いわゆる季節の天候が曖昧になってきたことと、地球全体の温暖化が加速していることを挙げる。「(黄砂が発生しやすい地域の1つである)モンゴル付近では冬の雪の量が増えた。温暖化=“雪が増える”というのは変かもしれないが、温暖化が進むと降水量が増え、冬場はこれが雪になるので、それがモンゴルで顕著になった。さらに、偏西風の風のブレなども含めて、そういう気候変動が黄砂を抑えているのではないかという考えも出てきている」と、現状をとらえる。

 最後に、「黄砂も、環境問題につながっていくもの」と述べた正木さんは、「黄砂は私たちにとってはいやなものだが、うまくこの時期を乗り切りましょう! もうしばらくがんばりましょう!」と締めくくっていた。


※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』2021年4月5日放送回より

◆『正木明の地球にいいこと』ホームページ

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