歌劇の街だけではなく温泉地だった歴史など、明治から近代にかけての宝塚の魅力をひもとく「モダン宝塚のレガシー ―関西随一のモダン仙境」が、兵庫県宝塚市の宝塚市立芸術文化センターで開催されている。6月21日(日)まで。
2020年4月にオープンを予定していた宝塚市立芸術文化センターは、新型コロナウイルス感染症の影響でずれ込み、8月にグランドオープンとなった。今回の企画は開館記念として考えられていた企画の一つで、ようやく実現した。
「歌劇の街」として知られる宝塚。その名は江戸時代の「摂津群談」という本の中に登場する。大坂近郊の名所のひとつとして、宝の塚がありそこで物を拾うと幸いがあると取り上げられたのが始まりとされる。明治になって武庫川右岸の駅の近くに発見された温泉を宝塚温泉と名付けてことからその名が広がった。大正になると宝塚少女歌劇が誕生し、「宝塚」の名前を不動のものにした。
武庫川を挟んで右岸に保養地としての宝塚旧温泉、左岸側に宝塚新温泉が共存する。昭和に入りモダンライフが流行すると、旧温泉はホテルに建て替えられ、阪神モダニズムの象徴・宝塚ホテルが開業する。展示では宝塚温泉の変遷を当時の写真や資料のほか、昭和初期の宝塚を撮影した8ミリフィルムなどで振り返る。
また、宝塚市立芸術文化センターが建つ場所には、かつて新温泉=のちの宝塚ファミリーランドがあった。今回の展示にあたり、一般から「宝塚ファミリーランドの思い出の写真」を募集したところ、予想をはるかに上回る730枚もの写真が寄せられた。1935年(昭和10年)代から2003年4月7日の閉園の日までの、家族への愛のあふれる写真を、思いの詰まったコメントともに紹介する。
宝塚市立芸術文化センターの加藤義夫館長は「宝塚には温泉があって歌劇があって、それが現代につながっている。今回の展示はこれまでの歴史や魅力を次の世代に引き継ぐもの」と話す。
◆「モダン宝塚のレガシー ―関西随一のモダン仙境」
会場 宝塚市立文化芸術センター 2F メインギャラリー
会期 2021年4月24日(土)~6月21日(月)
※緊急事態宣言期間中の開館情報は、公式ホームページを要確認。