新型コロナウイルス感染拡大に伴って、今までとは違う種類のゴミが圧倒的に増えている。すぐに思い浮かぶのはマスク。人間を守るためのアイテムが、野鳥や海洋生物などの命を脅かす存在になっているという。
お天気キャスターとして活躍する気象予報士・防災士の正木明さんは、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、「コロナごみ」について語るとともに、「本当にマスクはちゃんと処理していく必要がある」と訴えた。
ラジオ番組『正木明の地球にいいこと』(ラジオ関西)4月19日放送回のなかで取り上げられた、「コロナごみ」の現状。マレーシアでは適切に処理されなかった15億枚以上のマスクが最終的に海に流れ込んでいることや、ブラジルではビーチに打ち上げられたペンギンの胃の中からマスクが見つかったことなど、海外では環境や動物に大きな影響が出ているという。
日本でも、神奈川県の江の島で2005年から清掃活動を行っているNPO法人「海さくら」が、ビーチクリーン活動を通して「コロナごみ」の実態を伝えている。新型コロナウイルスの影響で清掃活動を一時中断していた「海さくら」。昨年6月中旬以降にいったん再開すると、たくさんのマスクや除菌ペーパーなどの「コロナごみ」を発見。以前は1日の清掃でマスク1枚程度だったものが、昨年は1日に15枚ほど増加し、特に雨が降った翌日などはさらに多くのマスクが海岸に流れ着くという。「海さくら」の代表は、「マスクなどを使用する際には、環境に十分考慮してほしい」と語っている。
一方で、今、世界各地で植物を由来とした素材を使ったマスクの開発が進んでいることも、番組内で紹介された。カナダのブリティッシュコロンビア大学では、木の繊維から微生物によって水や二酸化炭素などに分解されるマスクを開発中で、つい落としてしまっても自然の力で分解されるマスクとして、環境にやさしく、注目が集まる。日本でもそういったマスクの開発は進められていて、植物から取り出したでんぷんなどを使ってマスクを製造する企業も増え始めているようだ。正木さんは「企業としての底力というのはすごい。ぜひかんばって自然にやさしいものを作っていただきたい」と期待をこめた。
正木さんは番組のなかで、「僕らがよく使うマスクはいわゆる不織布で、モノはプラスチック。これが細かくなると、マイクロプラスチックやマイクロファイバーなどになり、どこに行ったか分からなくなったまま、結局は動物がみんな食べてしまう。そして、最終的には人間にも入ってしまうということなので、本当にマスクはちゃんと処理していく必要がある」と、「コロナごみ」処理の重要性を述べていた。
※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』4月19日放送回をもとに、記事を構成しました。