フランスを代表する大女優、ジュリエット・ビノシュが“理想の女性”を育てる学校をめぐって繰り広げるドタバタコメディー。私たちはもう、夫の言いなりにならない! 映画『5月の花嫁学校』が、6月4日から京都シネマなど全国で順次公開です。
良き妻になるために料理や裁縫、洗濯とアイロンがけなどの家事から、育児や家計の管理、夫への寄り添い方まで生活の手本を教える、フランス・アルザス地方の花嫁学校。ここに少女たち18人が入学します。
“2年間で完璧な主婦になれる”というふれこみの花嫁学校なのですが、当時のフランスで女性の職業選択の自由や政治への参加など男女平等の風を感じる少女たちには時代遅れで、納得できないことばかりです。
この学校の校長は、ピンクのスーツを粋に着こなすポーレット。学校を経営するのはポーレットの夫・ロベールです。ある日、莫大な借金を遺してロベールが急死します。破産寸前の学校を救うために校長のポーレットが取引先の銀行に駆け込むと、そこへ死に別れたはずの元恋人がいました。2人が心の奥にしまっていた情熱に再び火がついてしまいます。
こうした中、ポーレットは学校の立て直しで経営を学ぶうちに、夫が前時代的な考えで自分たちを家に縛り付けていたことに気づきます。そして、ある生徒が起こしたトラブルをきっかけに女性が自立する生き方に目覚めます。女性校長と女子生徒たちの革命が始まることになります……。
校長・ポーレットを演じるのはフランスのオスカー女優、ジュリエット・ビノシュです。学校で針仕事や掃除の仕方を教える講師で修道女の役をノエミ・リヴォウスキー。校長の義理の妹で料理長がヨランド・モロー。大女優3人が教師を熱演します。
監督は『セラフィーヌの庭』や『ルージュの手紙』で知られ、セザール賞7冠のマルタン・プロヴォ。監督によると、1960年代のフランスにはこうした花嫁学校がたくさんあって、農村部出身の少女たちが学んでいたそうです。裕福な家庭の男性と結婚したり、都会で家政婦の仕事に就いたりするのを目指して農家の厳しい生活から免れる希望を抱いていたといいます。プロヴォ監督は「1968年5月以降に存続した学校が一つもないのは信じられない」と述べていて、女性の社会進出をめぐって時代が急速に変化していたことが分かります。
本国フランスで初登場1位を記録。パリで勃発した5月革命をきっかけに、フランス全土に広がった社会を変える動きを背景として自由に目覚める女性たちのストーリー。良妻賢母をめぐるフランスの裏現代史をコメディーで描きます。私たち日本人の社会に当てはめながら観るとして、あなたの考えはいかがですか? 映画『5月の花嫁学校』は6月4日から全国順次公開です。(SJ)