大阪教育大学附属池田小学校で児童8人が犠牲になった事件から20年となった8日、追悼式典「祈りと誓いの集い」が開かれた。
池田小学校では事件を教訓に2009年から「安全科」という授業を設け命を守る教育を続けている。昨年(2020年)は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、児童の参加を各学年代表にとどめるなど大幅に規模を縮小、毎年この日に行われる「安全科」の授業は見送られたが、今年の授業は2年ぶりに報道陣にも公開され、事件で心に深い傷を負った児童に配慮して、当時の制服を廃止して、私服を着用した期間を経て現在の制服になった経緯などを学んだ。
式典「祈りと誓いの集い」には一部の遺族のほか、各学年の代表児童6人や教員ら約60人が出席した。事件の発生時刻、10時12分にあわせ、亡くなった児童の名前が刻まれたモニュメント「祈りと誓いの塔」の8つの鐘を鳴らし、参列者は1分間の黙祷をささげた。
事件当時6年生の担任で、いったん池田小を離れ、去年3度目の赴任となった眞田巧校長は「当時『学校は安全なところである』という根拠のない思い込みによって緊急事態の想定ができていなかった。子どもたちを守る教育と、加害者を生まない教育。これをあきらめてはならない。目の前の子どもが、笑顔で元気に過ごせる学校生活を保障するために、前を向いて教育に取り組みたい」と誓った。
眞田校長は当時を振り返る。3階の教室で授業後に子どもと会話をしていると突然、叫び声が聞こえた。中庭を走り回る児童。倒れた教員。外に出ないよう伝えて1階に降りたが、犯人が確保されたと聞き、児童らの避難誘導に当たった。事件後は遺族対応に奔走する。「子どもの命を守れず、申し訳ない」。その気持ちから、精いっぱい遺族に寄り添ったと振り返る。