先日、キッチンで料理をしているときにふとアルミホイルに目がいった。光沢のある面とない面があるが、果たしてこれは裏表があるのだろうか……一度気になりだすとその疑問が頭から離れず、料理が進まなかったので調べてみた。聞いたのはアルミニウムに関する様々な研究を行っている機関「日本アルミニウム協会」。どんな反応をされるのかと恐る恐る聞いてみたが、どうやらこうした質問はたまにあるようで快く答えてくれた。
結論から言うと、アルミホイルに裏表はないということだ。ではなぜ、光沢のある面と少し曇っている面があるのかというと、アルミホイルの製造過程によって光沢に違いが出るからだという。アルミホイルは圧延機という機械を使用してアルミを薄く延ばすことによって作られている。鉄のローラーの間を通るときに圧力がかけられて薄く延ばされる。この鉄のローラー部分に光沢があり、これが転写されてピカピカになる。このとき、効率の面とさらに薄くするという目的で2枚重ねてローラーの間を通すので、延ばされた後にはくっついている2枚のアルミを剥がして完成となるが、アルミ同士が重なっている側は光沢がない状態になる。裏表がないので、調理などの際にどちらの面を使っても構わない。例えばおにぎりを包むとき、塩にぎりは光沢のある面、梅干しのおにぎりは光沢のない面など目印にも使える。
ちなみにアルミホイルは、11ミクロンという薄さ。ミクロンとは、100万分の1メートル=1000分の1ミリを表す長さの単位。髪の毛の太さが100ミクロン前後、紙幣の厚さがおよそ90ミクロンなので、相当な薄さだということがわかる。アルミホイルは20年ほど前はもう少し分厚く、15ミクロンほどあったということで、ノートパソコンや携帯電話などと同じく時代を経てさらに薄くなっているようだ。
アルミホイルには裏表がないということがわかりキッチンで胸をなでおろしていたところ、ふとアルミホイルの横に並ぶ「サランラップ」に目がいった。アルミホイルと違い、ぱっと見た感じでは裏と表の違いはなさそうだが、実際のところはどうなのだろうか……またしても料理が進まなくなったので、「サランラップ」を販売している旭化成ホームプロダクツに聞いてみた。
こちらもアルミホイルと同じく裏表はなく、「使いやすいように使ってもらえたら結構ですよ」という回答だった。
調査の結果、アルミホイルと「サランラップ」ともに裏表がないということが判明した。人間と同じで、何事においても裏表がないのがいいのかもしれない……などと考えながら、料理を再開したのだった
(取材・文=バンク北川)