東京五輪のグループステージ最終戦(第3戦)でチリ女子代表に1-0と勝利し、グループEの3位で決勝トーナメント(ノックアウトステージ)に駒を進めた、サッカーの日本女子代表(なでしこジャパン)。30日の準々決勝ではグループG・1位のスウェーデン女子代表と、埼玉スタジアム2002で対戦する。キックオフは午後7時の予定。
27日夜に行われたチリ戦では、序盤から攻勢をかけるもゴールにつながらず、逆に相手に決定機を作られるシーンもあり、不穏なムードも漂った。しかし、77分、待望の先制点を獲得。杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)の縦パスをきっかけに、岩渕真奈(アーセナル/イングランド)のポストプレーを経て、最後は田中美南(INAC神戸レオネッサ)が右足でゴール。なでしこ期待のストライカーの一撃がチームを窮地から救った。
このチリ戦を前に放送されたINAC神戸レオネッサ応援番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)では、番組パーソナリティーを務める近藤岳登(元Jリーガー)と赤﨑夏実が、リスナーのメッセージを紹介しながら、なでしこジャパンを激励していた。
0-1と敗れた24日のイギリス女子代表戦を振り返った際、「イギリスはやることがはっきりしていて、高さで勝負する中に簡単にクロスを入れてくる。それを日本も分かっていたが、やられた」と述べた近藤。「(なでしこジャパンの選手たちの)球際がゆるい。クロスを上げられて中で勝負するよりも、クロスを上げられる前が大切だったと思う。中は人数もいたし対策はできていた。その前の、クロスを上げさせないとか、浅い位置で上げさせて簡単にはじこう、というところまで選手は意識していたか疑問の残るイギリス戦だった」と課題を指摘。
準々決勝の相手、スウェーデンは、アメリカ女子代表に3-0と大勝するなど、今大会はここまで全勝の強豪。また、3得点を決めているスティナ・ブラクステニウス選手(174センチ)、2得点のリナ・フルティグ選手(180センチ)とフリドリナ・ロルフォ選手(178センチ)をはじめ、高さのある選手が揃うだけに、苦杯をなめたイギリス戦の教訓をいかせるかは、ベスト4入りへのポイントの1つとなるだろう。
一方で、なでしこジャパンの好材料についても、番組では目を向ける。その1人が、チリ戦でも得点のきっかけを作った杉田選手のプレーだ。INAC神戸でも中心選手であり、年代別のワールドカップではMVP経験もあるレフティは、攻撃面でうまさを発揮。「パスが来たときのボールの受け方、相手のかわし方、ボールさばきが日本人では断トツ」と、近藤もレベルの高さを称える。「ボールを流して相手をかわすプレーでは、一瞬で自分のところに来ているボールのスピード、相手のプレス、相手の距離感、どこにスペースが空いているかを判断して、ボールにぐっと寄るけどそのまま触らずに流す。その技術が杉田選手はめちゃくちゃ上手。海外選手にも全く引けを取らない」と、絶賛していた。
9月12日に開幕するWEリーグに向けても、なでしこジャパンのさらなる活躍は欠かせないだけに、メダル獲得のため絶対に負けられない準々決勝。守備ではチリ戦でも無失点に貢献したGK山下杏也加選手やキャプテンのDF熊谷紗希選手を中心に、粘り強い戦いが求められる。そして、攻撃陣では、エースの岩渕選手や田中選手ら、今大会でゴールを決めている選手たちを軸に、果敢にスウェーデンゴールをこじ開けたい。
「オリンピックがあってWEリーグが開幕するって、すごいタイミング。確実に流れは来ていると思う。『あの選手を見に行きたい』と火をつけて一気に走りたい! そのためにも気持ちを1つに、一致団結して、日本のみんなが思っている気持ちをなでしこジャパンに送りたい! 頑張ってほしい!」と、番組パーソナリティー陣も念を送っていた。