姫路信用金庫(本店:姫路市十二所前町105)がこのほど、取引先企業の景気の方向性を判定するための「景気動向調査」を行い、その結果を「ひめしん景況レポート(2021年6月期)」としてまとめた。6月上旬に450社を対象に同調査を実施し、448社から回答を得たところ、取引先の景況感は2四半期ぶりに改善したことがわかった。同金庫は、1975年から4半期に一度のペ-スで調査を実施しており、今回が183回目。
調査の対象となったのは、兵庫県播磨地域から明石市、神戸市にかけての450社で、製造業と非製造業(卸売、小売、運輸・サービス、建設、不動産)の計6業種にわけられる。企業の規模はうち8割以上が50人未満と、中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴で、大企業が中心の日銀の短観(短期経済観測調査)とは異なる。
全体の業況判断DI(「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いた指標)は、前期(2021年3月期)から12ポイント上昇の▲28となった。業種別では、製造業は前期から16ポイント上昇の▲33、非製造業は前期から10ポイント上昇の▲26となり、不動産業以外の全ての業種(卸売、小売、運輸・サービス、建設)で改善した。
一方、非製造業では、特に飲食店を含む小売業で業況の回復が遅れている。小売業の業況判断DIは前期から12ポイント上昇の▲46と2四半期ぶりに改善したが、来期はやや悪化する見通し。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う、飲食店への休業要請や時短要請の影響で、依然として厳しい状況にある。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下の2020年6月期調査では、総合の業況判断DIはリーマンショック時を下回る▲68を記録した。その後、経済対策等の効果もあり、景気回復局面にあったものの、12月の緊急事態宣言の再発令時は景気回復ペースが鈍化し、DIは横這いに。今期は海外経済の回復が国内景気にも好影響を与え、幅広い業種で景気回復の追い風となったが、いずれの業種でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準には及ばなかった。
来期(7~9月期)の予想業況判断DIは全体、製造業、非製造業のすべてで今期からおおむね横ばいとなる見通しとなっている。