今秋から始動する日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の開幕が約1か月後にせまり、クラブの陣容も着々と整備されている。WEリーグ初代女王を目指すINAC神戸レオネッサは、6月に元なでしこジャパン(日本女子代表)のMF後藤三知選手が加入。さらに8月には、新たに2人の新戦力獲得を発表した。
セレッソ大阪堺レディースより加わったのは、FW浜野まいか選手。2004年5月9日生まれ、大阪府出身の浜野選手は、2019年シーズンに当時15歳でC大阪堺のトップチームデビューを果たし、なでしこリーグ2部で早速ゴールを記録。昨年からはチームの主軸の1人として活躍すれば、今年のなでしこリーグ1部第15節ではハットトリックも記録している。また、今年3月には飛び級でなでしこジャパン候補トレーニングキャンプにも招集されるなど、いま期待の若手ストライカーだ。浜野選手はクラブを通じて「感謝の気持ちを忘れず、プロサッカー選手としての自覚を持ち、チームの勝利に貢献できるように日々頑張ります! 熱いご声援よろしくお願いします!」と意気込みを述べている。背番号は23。
一方、スペインリーグで研鑽を積み、約2年ぶりにチームに復帰したのは、DF羽座妃粋選手。1996年3月16日生まれ、兵庫県出身の羽座選手は、日ノ本学園高校、日本体育大学(日体大FIELDS横浜)と、高校・大学では女子サッカーの名門で活躍。大学時代にはなでしこジャパン選出経験も持つセンターバックだ。2018年からINAC神戸でプレーしたが、1シーズン半で10試合の出場にとどまった。それでも、2019年夏にスペインにわたると、AEMレリダで試合を重ね、貴重な経験を積んだ。再びレオネッサのユニフォームに袖を通す羽座選手は「再び地元であるINAC神戸でプレーできることに感謝しています。スペインでの経験を活かして成長した姿を見せられるよう、そしてリーグ優勝に貢献できるように頑張ります。応援よろしくお願いいたします」とコメントを発表している。背番号は15。
近藤岳登、赤﨑夏実、寺田光が番組パーソナリティーを務めるINAC神戸レオネッサ応援ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』8月9日放送回でも、早速、新戦力についての話題におよんだ。
浜野選手について、元Jリーガーの近藤は「17歳! 若い子がプロ選手になるというメンタリティ! 16歳から日本代表の練習にも参加して、今後のワールドカップやオリンピックを背負っていくことが確定している。『大丈夫かな?』『プレッシャーがかからないのかな?』と思うけど、その次元でサッカーをしてないんだろうな。堂々としているんだろうな」と、未来を嘱望されたゴールゲッターに大いに期待。近藤自身の高校生時代とも比較し「すごいなー!」とただただ感嘆するばかり。「移籍というのはいろんな難しさがある。チームに与える影響が、良くもなるし悪くもなる」と自らの経験も踏まえて話をしつつ、「17歳に、自由にわがままにやらせてあげられる環境があればいいと思う」とおもんばかっていた。
今シーズンのINAC神戸新加入選手は、浜野選手、羽座選手を加えて、計9人。さらに、プレシーズンマッチにも出場した天野紗選手といった育成組織(INAC神戸レオンチーナ)在籍、2種登録の楽しみな若手もいる。東京オリンピックのなでしこジャパンメンバーである田中美南選手や中島依美選手、山下杏也加選手、杉田妃和選手、三宅史織選手といった既存の選手たちも含めて、星川敬監督率いるレオネッサの陣容には期待がふくらむ。
「東京五輪で優勝したカナダは、38歳の(クリスティン)シンクレア選手がみんなを背中で引っ張った。そういう選手の関係性(が大切)」という近藤。「17歳でもリスペクトしたうえで、アドバイスもできるし、逆に何か要求されても『たしかにそうだな』と1回受け止められる器のある選手がすごく必要。そういう器を持っている選手が揃うほどいいチームになるのは間違いない」とチームの懐の深さが鍵を握ると話す。「GK山下選手やMF中島選手が若手にいろんなことを伝えられる。若手の良さをうまく生かしてあげられる。また、新加入選手が輝ける、それはチームが強くなる一つのベクトルだと思う」と、戦力の融合をWEリーグを勝ち抜くうえでのポイントにあげていた。
INAC神戸はWEリーグ開幕戦となる9月12日、ホームのノエビアスタジアム神戸で、大宮アルディージャVENTUSと対戦する。キックオフは午前10時。