犬やネコといった動物は、家に帰ってきたときなど、「お帰りなさーい」という感じで、こちらに寄って来てうれしそうにしっぽを振ったり、足もとにスリスリして甘えて来たりと、飼い主になついて、めちゃくちゃかわいらしく思いますよね。
熱帯魚などの魚は、水槽の中を優雅に泳ぐ様子を眺めて癒されたり、きれいな模様を鑑賞して楽しんだりと、なつくというよりも、眺めて楽しむもんだと思っていたんですが……。
この間、とある商業施設の、新鮮な魚料理を出すお店に行ったときのことです。店内にあります「いけす」、そう、新鮮な魚料理を出すために、生きたままスタンバイさせている、大きな水槽です。
「どんな魚がいるのかな?」と、いけすを見てみますと、います、います、鯛やヒラメや、いろんな魚が。
やはり覗き込んだら、魚たちは逃げていくのですが、なぜか1匹だけ、私の方に近づいてくるのです……。
偶然かと思い、いったんその場から離れて、もう一度、覗き込んだら、やっぱり他の魚は逃げて行くのに、その魚だけは私の方に近づいてくるのです。
本当に目の前に来るので、思わず手を伸ばしまして……ナデ、ナデ、ナデ。
何と、手でなでても逃げないんです。
しかも、背ビレ当たりをなでていると、口を少し半開きにして「気持ち良いわぁ~」みたいな顔してるんです。