国立大学法人神戸大学と、神戸市に本社をおく大手給湯機メーカーの株式会社ノーリツが、4日、包括連携協定を締結した。神戸大学にとっては10年間で10億円の研究費が提供され、ノーリツが大学と協定を結ぶのは今回が初めて。大規模な包括連携協定となる。
今回の包括連携により、神戸大学は学術成果を地域社会の発展に貢献させたいとし、一方ノーリツは新たな技術開発テーマを設定することで環境変化への対応や、それに伴う付加価値・新規事業の創出を目指している。さらに、この活動を通して人材交流の活発化を図り、双方の人材育成にもつなげたい考えだ。
両社は同包括連携の運営にあたり「神戸大学ノーリツ連携協議会」を新設。目標設定や進捗管理を行い、「脱炭素技術領域」「DX技術領域」「ウェルネス技術領域」の3分野の研究プロジェクトを軸に、商品化の検討などを行う予定だ。
特に、脱炭素化に向けて社会が動いている今、ノーリツは環境変化に対応するためハイブリッド給湯器などを開発してきた。ここに神戸大学の技術を合わせることで、省エネ・環境性が高まり脱炭素社会実現の貢献が期待される。
今回の包括連携協定について、神戸大学の藤澤正人学長は「研究で得られたで知でイノベーションを創出するとともに、異分野の研究者が共同することによって相乗効果が生み出される事を期待している。同じ神戸を拠点にしている者として、世界に新領域のイノベーションを発信していきたい」と、新たな価値の創造に期待を寄せた。
一方、株式会社ノーリツの腹巻知代表取締役社長は「ノーリツは『両利きの経営』を軸として、既存分野の変革・新しい収益の柱を作ることが目標。そのために、これまで培ってきたノウハウを武器にしつつ、神戸大学から新たな技術供与をお願いしたいと考えています」とコメントし、さらに脱炭素化社会の流れについて「2030年に家庭の温室効果ガスを46パーセント削減するという政府の目標発表があったので、それを目指して技術開発を行う予定。また、2050年にカーボンニュートラル実現という宣言もあったが、今後ガス以外のエネルギー給湯器を(神戸大学と)共同開発する可能性は十分あると思う。水素やアンモニアなど、将来の主力エネルギーが何なのか、その判断も含めてこれから見極めていきたい」と今後の見通しについて語った。