スマートフォンを見れば、時刻がすぐにわかる時代になり、腕時計を使う人が減っています。スマホにはまた、ストップウォッチ機能がついているので、「砂時計」は腕時計以上に使われる場面が減っているかもしれないな――。そう思いながら砂時計を頭に思い浮かべていると、ふとした疑問が湧いてきました。あの、砂時計の「くびれた部分」に名前はあるのでしょうか……。
調べてみると、「仁摩サンドミュージアム」(島根県大田市)には、“世界最大の砂時計”があるということがわかりました。仁摩サンドミュージアムは、1991(平成3)年にオープンした、全国でも珍しい砂の博物館です。この、世界最大の砂時計は「砂暦(すなごよみ)」という名前で、全長5.2メートル、直径1メートルという大きな容器の中に1トンの砂が入っているそう。砂はわずか直径0.84ミリの穴から落ちていき、1年かけてすべての砂を落とします。構想から3年、1億円の費用をかけ完成しました。せっかくなので、いろいろ聞いてみます!
早速、スタッフの方に砂時計の「くびれた部分」の名前を聞くと、「この部分は、『ノズル』、『オリフィス』、『蜂の腰』という3つの名前が存在します」と教えてくれました。名前がついているどころか、3つも呼び方があるなんて驚きです! 一般的に、筒状で先端の小さな穴から流体を出す部分を「ノズル」と呼び、流体を通す小さな穴のことを「オリフィス」と呼ぶようで、「蜂の腰」というのは見た目に例えてその名前がついたそう。仁摩サンドミュージアムでは、来館者に説明する際に混乱させてしまわないよう、「ノズル」という名前で統一するように決めています。
仁摩サンドミュージアムには、世界の砂の標本コーナーなどの展示もあり、様々な砂時計を販売しています。手作りの「1分計砂時計」が一番人気の商品ですが、砂時計をサウナで使いたい、という人もいるとのことで、サウナに適した「砂鉄の砂時計」も販売。普通の砂と違って湿気の影響を受けにくいそうです。
いまとなっては、なかなか使う機会が少ない砂時計ですが、ゆっくり砂が落ちていく様は日々の喧騒を忘れさせてくれる魅力があります。「ノズル」「オリフィス」「蜂の腰」を通って落ちていく砂に癒やされてみてはいかがでしょうか。