ノーベル医学・生理学賞の受賞者で、京都大学特別教授の本庶佑氏が、新型コロナウイルスを、毒をまく忍者に例え、「忍者を見つけることはできないが、忍者の動きを封じ込め、毒をもらった人を発見し、適切な治療で死亡を防げば戦いに勝利できる」とし、国民に自覚を促している。感染拡大を早期に収束させ、経済社会への打撃を最小限に食い止めるための緊急提言を自身のホームページにアップしている。
日本の現状について、本庶氏は「医療崩壊を防げるかどうか」の局面とし、「これが起こると人命とともに社会経済に不可逆的損害の恐れがある」と警告した。「医療崩壊が起こると医療従事者が命の危険にさらされる。これを避けることがウイルス感染を短期終息させ、経済を早期に回復させる」としている。
ウイルスとの戦いを、「目に見えない忍者との戦い」に例え、「忍者は弱毒をまくことで無症状から発熱、肺炎など、人によってさまざまな症状を引き起こし、1~2パーセントを死に至らしめる」とし、打つべき策として、「忍者を見つけることはできないが、毒をもらった人を発見し、毒が人に移らないようにすること」「適切な治療で死亡を防ぐこと」を挙げた。
他人に毒が移らないようにするためには、「PCR検査数を増加させて誰が毒をもらったのかを知り、週末に限らず、平日も外出自粛を徹底する」こととし、「満員電車は一番危険」と警告した。
「適切な治療」については、軽症者の隔離と重症者の治療を可能にする入院ベットの管理を実現し、「新しい治療法の開発と、外国で成功した治療法の実地応用」を挙げている。
最後に「経済的損失を恐れて対策を先延ばしにし、結果としてウイルスの蔓延を招いて社会経済に取り返しのつかない損害が及ぶことは避けなければならない」と呼びかけている。
本庶佑教授のホームページ
http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/