京王電鉄線(東京都調布市)特急の乗客切り付けや、九州新幹線(熊本県内)の車内放火未遂など、走行中の鉄道での事件をいかにして防ぐかが課題となっている。
こうした中、神戸市交通局や兵庫県警などが7日、神戸市営地下鉄・西神中央駅(神戸市西区糀台)で、無差別殺傷・放火事件を想定した訓練を実施した。〈撮影協力 神戸市交通局・兵庫県警〉
訓練は、走行する地下鉄車内(6両編成)の先頭車両に刃物を持った男が乗客を襲い、可燃性の液体を車内に撒いて放火した事件を想定。
犯行現場となる先頭車両の乗客約10人は2両目に避難、車内の非常通報装置による通報を受け、警戒のため乗り合わせていた鉄道警察隊員が犯人を先頭車両に留め、列車は西神中央駅に到着。その後ホームに駆け付けた警察官と駅員らが連携しながら乗客を避難誘導し、犯人を制圧、消火活動するまでの手順を確認した。
一般的に鉄道車両内には防犯カメラがなく(一部を除く)、密閉空間となる車内での状況把握が難しい。京王線の刺傷事件では、居合わせた乗客が撮影したスマートフォン映像などが事件後の状況把握や捜査に役立ったが、兵庫県警・警備課の竹内浩司課長補佐は「確かに現場の映像は証拠として有効だが、自分の身を守ることを最優先に、乗務員や警察官の誘導に従い、まずその場から離れて、車両を移るなどしてほしい」と呼びかけた。