毎年、年末になると雑誌やテレビで謳われる「来年は〇〇カラーで行こう!」「◯年の流行カラーはこれで決まり」などの文言。まだ年も明けていないのに、この「流行」は誰がどうやって決めているのか? 色のトレンドに詳しい「一般社団法人 日本流行色協会」大野礼子さんに聞く。
◆「トレンドカラー」の決まり方
トレンドカラーは、日本を含む世界17か国での流行色を決めることのできる「国際流行色委員会」という機関が、シーズンの2年前に春夏と秋冬に分けてそれぞれ決定する。ここでは、世界17か国の代表者が、世の中の情勢や空気感をもとに、次の時代にマッチすると思う色をそれぞれ持ち寄り、「こんな雰囲気で、こんな感じの色合い」というような「時代に合ったカラーの世界観」について話し合う。
日本での具体的な流行色が決定するのは、国際会議が開催された約半年後。「国際流行色委員会」での決定を踏まえて、日本の色のスペシャリストが集う「日本流行色協会」が、シーズンの約1年半前に、国内市場向けカラーとして「レディスウェア」「メンズウェア」「プロダクツ&インテリア」の3つの項目に分けて、さらに具体的な流行色を協議し決定を行う。つまり、トレンドカラーは、実際に流行っている色を調査したり、誰かが流行らせたい色を決めたりするものではなく、世の中の情勢や時代の空気感にマッチしたカラーを色のスペシャリストたちが提案する、という形で選定されているのだ。
大野さんによると、色は人の気持ちに密接に関わるものであるため、その時代ごとの「人々の生活の状況」や「消費者の気分」によって、マッチする色合いも変わってくるのだそう。このトレンドカラーは、アパレルメーカーのみならず、家電や自動車、家具メーカーなどのあらゆる「ものづくりの会社」が「時代に合った製品」を作る指標になっている。
◆2022年のトレンドカラーは?
実は、「トレンドカラー」は一色ではなく、日本流行色協会が提案するのは「色の雰囲気や世界観」と、そのテーマに基づいた色の一例のみ。例えば、2022年春夏の「レディスウェア」のカラーテーマは「ブリージング(深呼吸)」。このテーマには、ここ数年続いていた新型コロナウイルスの流行にようやく終息の兆しが見えてきたという時代背景に合わせ、ここで一度深呼吸をし、息を整えるように生活をもとに戻していこうという願いが込められている。
さらに具体的な例を挙げるなら、「厳しい生活の中で優しさや光を感じるドリーミーな色」、「自然や光合成、再生を連想させる清浄感のある色」、そして「制限から解き放たれるような華やかで魅惑的な色」にも注目とのこと。なんとなく、わかるような、わからないような……なかなか想像力が必要な表現だが、つまり、2022年を代表するトレンドカラーは「鮮やかなグリーン」……。