海上保安庁は、12月10日から1月10日まで、全国で年末年始の特別警戒を行う。新型コロナウイルスの感染防止対策で人の流れが減少したとはいえ、年末年始は客船やフェリーの利用者と物流が増加する傾向にある。神戸海上保安部は10日、神戸港の新港第1突堤で年末年始特別警戒出動式を行い、巡視艇、灯台見回り船が出動する中、航路標識などの特別点検を始めた。
神戸海上保安部の管轄海域では2021年(1~11月・確定値)で、船の事故が57件と、前年に比べて20件減少しているが、危険性の高い事故が目立った。
9月に淡路島・岩屋沖(兵庫県淡路市)で消波ブロックに衝突したとみられる水上オートバイに乗っていた男女3人が死亡した事故が起きた(運転していた男性については11月、容疑者死亡のまま重過失致死・過失往来危険容疑で書類送検)。男性は無免許で、体内からアルコールが検出された。3人はいずれもライフジャケットを身に着けていたが、水上バイクの損傷の様子などから時速約100キロのスピードで航行していたとされる。
また、大阪湾、播磨灘、淡路島沿岸では、毎年9月~翌年5月、「のり養殖施設」(通称:のり網)が多数設置され、今年(2021年)の設置開始から、すでに船舶6隻が兵庫県明石市や淡路島沿岸の「のり網」に乗揚げており(※12月9日現在)、例年同期と比べ約2倍のペースで事故が急増している。
神戸海上保安部の加瀬和浩部長は▼乗客が増えることが想定される旅客船での船内窃盗やテロ行為▼プレジャーボートをはじめ小型船での飲酒運航▼釣り人の海中転落 などの未然防止と、開錠で不審な人物や不審物を見かけた時には緊急通報のための「118番通報」の活用を呼びかけた。