兵庫、大阪、奈良で店舗展開する関西スーパーマーケット(本部・兵庫県伊丹市)と阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)との経営統合をめぐり、最高裁は14日、統合手続きの差し止めを求める首都圏地盤のスーパー・オーケー(本社・横浜市)の抗告を棄却する決定をした。
最高裁決定を受け、オーケーは同日、関西スーパーの買収を断念すると発表したが、引き続き関西進出を検討するとした。H2Oは関西スーパーと株式交換し、当初の予定通り15日午前0時、子会社化(経営統合)した。
最高裁は「関西スーパーの臨時株主総会での経営統合の議決は有効」と判断した大阪高裁の判断を認めた。法廷闘争にまで発展した関西スーパーをめぐる争奪戦は、約4か月で決着した。関西スーパーは14日、最高裁の決定について「当社の主張を認め、正当な判断が示された」とのコメントを発表した。
■株主の意思を尊重、白票を「賛成票」とした関西スーパー
争点は2021年10月に開かれた関西スーパーの株主総会で、1人の株主の扱いを棄権から賛成に切り替えた決議の適法性だった。この株主は事前に賛成の議決権を行使し、当日はそれが有効と考え、棄権を意味する白票を投じていた。棄権とみなせば統合案は僅かな差で否決されていたため、オーケー側が集計方法を問題視し、統合手続きの差し止めを求めていた。
11月22日に1審・神戸地裁は統合の差し止めを命じたが、12月7日に2審・大阪高裁はこれを覆し、統合を認める決定を出した。そしてオーケー側が2審の決定を不服として最高裁に許可抗告を申し立てていた。
総会の決議方法を定めた法的な規定はなく、司法判断は当日の投票行為を重視する形式論か、株主の意思を尊重するかで割れた。神戸地裁は「軽微かつ形式的な誤りだったとしても訂正できない」として差し止めを命令。関西スーパーが抗告すると、大阪高裁は株主の意思が賛成だったことは明らかだとして決議の有効性を認めた。最高裁は「高裁判断は結論において是認できる」と支持した。
関西スーパーはH2O傘下の「イズミヤ」、「阪急オアシス」との間で株式交換を実施。2022年2月、「関西フードマーケット」に屋号を変更し、イズミヤ、オアシスと関西スーパーの事業を引き継ぐ新設子会社の計3社を傘下に置く。統合で売上高4000億円規模の関西トップクラスのスーパー連合が誕生。阪急阪神百貨店などを運営するH2Oグループの中でどこまで業績を上向かせることができるかが今後の課題となる。