姫路信用金庫(本店:姫路市十二所前町105)がこのほど、取引先企業の景気の方向性を判定するための「景気動向調査」を行い、その結果を「ひめしん景況レポート(2021年9月期)」としてまとめた。7月から9月を対象期間に、450社を対象に同調査を実施したところ、取引先の景況感は2四半期続けて改善したことが分かった。同金庫は、1975年から4半期に一度のペ-スで調査を実施しており、今回が184回目。
調査の対象となったのは、兵庫県播磨地域から明石市、神戸市にかけての450社で、製造業と非製造業(卸売、小売、運輸・サービス、建設、不動産)の計6業種にわけられる。企業の規模はうち8割以上が50人未満と、中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴で、大企業が中心の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは異なる。
全体の業況判断DI(「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いた指標)は、前期(2021年6月期)から1ポイント上昇の▲27となった。業種別では、製造業は前期から2ポイント上昇の▲31、非製造業は前期から1ポイント上昇の▲25となり、2業種(運輸・サービス業、不動産業)で改善した。
非製造業の中で、特に飲食業や対面サービス業は依然として苦境に立たされている。飲食店を含む小売業の業況判断DIは前期から1ポイント悪化したが、来期はやや改善する見通し。緊急事態宣言などによる消費者のマインド変化の影響は大きく、今後の忘年会など年末商戦への期待と感染動向に対する不安が混在しているという。また、エネルギーや食用油などの飲食料品の企業物価上昇により、企業業績が悪化する可能性がある。
度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で経済活動が冷え込んでおり、景気回復ペースが鈍いため、業況判断DIはいずれの業種でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準には及んでいない。一方、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだこともあって、新規感染者数が減り、飲食店等への制限も段階的に解除されたため、個人消費は今後緩やかに回復するとみられている。さらに、新政権は大型の経済対策を打ち出しており、国内景気は回復基調が続くと考えられる。
一方、新型コロナウイルスの今後の動向は引き続き懸念材料で、感染拡大防止と経済活動の活発化のバランスが一段と重要になる。姫路信用金庫の担当者は、「新型コロナウイルスの感染者は減っているものの、先行きは不透明で、来期の見通しについても慎重になっている」としている。